ビール好きは知っておきたい!ビールのオフフレーバーとは

ビールの品質を左右する重要な要素の一つに「オフフレーバー」があります。
ビールに本来期待される風味とは異なる、不快な味や香りのことを指します。

 

オフフレーバーは、醸造過程や保管環境の影響で発生することがあり、ビールの味わいを損ねる原因となるのです。
本記事では、オフフレーバーの種類や発生要因について詳しく解説。
醸造所を新規に立ち上げる、または拡大を考えている経営者の皆様は、ぜひご参考ください。

【目次】

ビールのオフフレーバーとは

ビールのオフフレーバーとは、ビール本来の味や香りを損なう、異なる香りや味を指します。
醸造過程や保管中に発生する可能性があり、ビールの品質に大きな影響を与える要因の一つです。
例えば、新鮮なホップの香りが特徴のビールが、時間の経過とともに不快なにおいを放つでしょう。
これがオフフレーバーです。

 

オフフレーバーは、特にクラフトビールの製造や保管において注意が必要です。
小規模なブルワリーでは、醸造工程の微妙な管理が難しく、オフフレーバーが発生するリスクが高まるのです。
また、ビールは保存環境によっても風味が変わりやすい酒類ですので、製造後の取り扱いにも細心の注意が求められます。

 

オフフレーバーを防ぐには、醸造中の温度管理や発酵環境の最適化、さらに流通段階での適切な保管が不可欠。
ビールの美味しさを保つために、オフフレーバーの理解と対策は醸造所にとって極めて重要な課題となります。

 

関連記事:ビール醸造の品質を担保するための5つの方法と欠かせないポイント

オフフレーバーの種類

オフフレーバーは消費者にとって不快な体験になるだけでなく、醸造所のブランドイメージにも悪影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、代表的なオフフレーバーである3つのオフフレーバーについて紹介します。

  • 老化臭
  • 日光臭
  • カードボード臭

一つずつ見ていきましょう。

老化臭

老化臭は、ビールが時間の経過とともに酸化劣化することで発生するオフフレーバーです。
この香りは、通常甘ったるく重い香りとして認識され、ビールのフレッシュさを損ないます。

 

老化臭の主な原因は、ビール内で酸化が進行することによって生成される化合物であり、特にホップの苦味成分の分解が影響を与えるのです。
ビールの保存期間が長くなるほど、臭いは顕著になります。

日光臭

日光臭は、ビールが紫外線にさらされることで発生するオフフレーバー。
特に瓶ビールが日光や蛍光灯などの光源に長時間さらされると、ビール内の化合物が変化し、焦げたような不快な臭いを発します。

 

この臭いはスカンク臭と呼ばれることもあり、特に軽いビールで強く感じられます。
日光臭を防ぐには、ビールを暗所で保存するか、紫外線を遮断する特殊な瓶を使用すべきでしょう。

カードボード臭

カードボード臭は、酸化によって引き起こされる典型的なオフフレーバーです。
名前の通り、ダンボールに似た臭いが特徴で、特にライトなビールでその存在が際立ちます。

 

臭いは、ビールが酸化することで生じるため、鮮度管理や保存方法が重要。
濃いビールではこの臭いが隠れがちですが、軽やかな味わいのビールではすぐにわかるため、製造過程での酸素管理が欠かせません。

 

関連記事:醸造所でのビール保管方法は?注意点と保管方法を決める基準について

醸造過程で発生してしまうオフフレーバー

ビールの醸造過程では、さまざまな要因によってオフフレーバーが発生するリスクがあります。

  • 硫化ジメチル
  • コゲ臭
  • ダイアセチル

これらのオフフレーバーは、ビールの品質を著しく低下させるため、ブルワリーでは対策が必要です。
ここでは、醸造過程で発生してしまう代表的なオフフレーバーについて見ていきましょう。

硫化ジメチル

硫化ジメチル(DMS)は、煮た野菜やキャベツのような香りとして感じられるオフフレーバーで、ビールのフレッシュな味わいを損なう要因となります。
主に麦芽由来の有機硫黄化合物が、酵母によって還元されることで生成されるケースが多いです。

 

また、発酵過程でもDMSが生成される場合もあり、適切な煮沸、発酵温度の管理が重要。
硫化ジメチルを防ぐには、麦汁の煮沸時に十分な蒸発を促す必要があるでしょう。

コゲ臭

コゲ臭は、ビールの発酵過程で生成されるオフフレーバーの一つで、焦げたような苦味やゴムのような香りが特徴。
この臭いは、発泡酒やアミノ酸含有量が低い麦汁で生じやすく、メチオニンの不足や煮沸時のpHが低すぎる場合に発生します。

 

コゲ臭はビールの風味を台無しにするため、発酵条件の管理が必要です。

ダイアセチル

ダイアセチルは、バターのような香りとして認識されるオフフレーバーです。
酵母が発酵初期に生成する副産物で、ビールのクリスプな味わいを損なう可能性があります。

 

ただし、ビアスタイルによっては、少量のダイアセチルが許容される場合も。
例えば、イングリッシュエールではダイアセチルがわずかに存在することで、独特の風味が引き立つこともあるのです。
ダイアセチルの発生を抑えるには、発酵後期に酵母の活動を促進し、ダイアセチルを再度分解させると効果的です。

ビールのオフフレーバーと発生原因について理解しよう

いかがでしたでしょうか?ビールのオフフレーバーについておわかりいただけたかと思います。

 

オフフレーバーは、ビールの品質や風味に大きな影響を与えるため、発生原因を理解し、適切な対策を講じましょう。

 

マイクロブルワリー、クラフトビール開業支援のスペントグレインでは、醸造設備の導入やメンテナンスだけでなく、ビールの品質管理に関するサポートも提供しています。
オフフレーバーのリスクを最小限に抑え、安定した高品質のビールを提供したいとお考えの事業者様は、ぜひ弊社にご相談ください。

この記事の監修者

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株式会社スペントグレイン
マーケティング担当者

兼 醸造アドバイザー/経営コンサルタント

<略歴>

大手経営コンサルティング会社へ就職し、地域経済の活性化に貢献するプロジェクトに多く携わり、食品やアルコールを通じた地域振興・施設開発を専門にコンサルティングを行う。経営アドバイザー・醸造アドバイザーとして地域密着型のクラフトビール事業の立ち上げから設備導入、経営戦略までを一貫して支援し、地元の特産品を活かしたビールづくりにも取り組んでいる。

<監修者から>

ビールの品質は、技術は当然のことながら、経営の安定からも生まれます。持続可能で収益性の高い事業運営を支援しながら、ビールの味わいを最大限に引き出すことが私の使命です。 良い設備がなければ、良いビールは生まれません。しかし、経営が安定してこそ、長期的に持続可能なビール文化を築けるのです。

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