ビールにおけるEBCの概要と指数ごとのおすすめビール3選について

ブルワリーの立ち上げや事業拡大を検討されている方に向けて、ビールにおけるEBCについて解説する記事です。 ビール製造に関わるなら知っておきたい「EBC」。 しかし、『EBCとは何か』『指数ごとに味に違いがあるのか』と疑問を抱く方も多いでしょう。 今回の記事では、ビールにおけるEBCについて、概要やSRMとの違い、味わいの違いなどについて広くご紹介します。 参考にしていただければ、色の基準指数を理解しながらご自身にとって理想のビールを製造するために役立つはずです。

【目次】

ビールにおけるEBCとは

ビールにおける「EBC」とは、色の濃淡の基準値のことです。 黒っぽい色、明るい色と、ビールにはさまざまな色が存在しています。 色の濃さを数値で示したものがEBC。 4~79までの数値にて示されており、おおよそ次のような基準となっています。 【ビールの色の基準】
  • 4~6:明るい黄色
  • 8~20:薄い茶色からアンバー色
  • 26~39:濃い茶色からこげ茶色
  • 47~79:濃い焦げ茶色から黒色
EBCの数値が高くなるほど、ビールの色は濃くなります。 たとえば、バス・ペールエールのEBC値は8、スタウトは35です。 EBCは、色がどのくらい濃いか淡いかを数値で示したものです。

ビールの色の指数にはSRMもある

ビールの色の指数には、「SRM」と呼ばれるものもあります。 どちらもビールの色の濃淡を数値で示すものです。 しかしEBCは「European Brewery Convention」の略称であり、おもにヨーロッパで採用されている指数。 SRMは「Standard Reference Method」の略称で、アメリカで開発された指数である違いがあります。 世界的に見ると、SRMで示されていることが多いでしょう。 EBCとSRMの両方について知っておかなければならない理由は、同じ色を示すとしても、値が変わるためです。 EBC値はSRM値の約1.97倍です。 SRM値に1.97を乗じると、SRM値に変換できます。 たとえばEBC26の濃いアンバー色のビールは、SRMで示すと13となります。 そのため、違いを把握していないと、想定と異なる色のビールができてしまう可能性があります。 ビールの色の指数には、EBCとSRMの2種類があると把握しておくことは、ビール製造において大切なことです。

ビールの色が変わる理由

ビールの色は、麦芽の焙煎の度合いによって変わります。 麦は水で発芽させた後に焙煎し、ビールの原料として使用されます。 焙煎のときの温度が低ければ明るい色を保ち、高温で焙煎すれば色の濃い麦芽となります。 ビールの色は焙煎後の麦芽の色によって決まります。 200℃前後の高温で焙煎すれば色が濃く、90℃前後の低温で焙煎した場合は色が薄くなります。 一般的に食材を高温で加熱すると、濃い色になります。 麦芽の焙煎も同じで、高温で焙煎をすれば焦げて茶色が濃くなり、焙煎の温度が低ければ薄い色づきとなります。 ビールの色は焙煎された麦芽の色を反映していると考えられます。

フルーツなどの色素でビールを着色することも可能

ビールの色は、麦芽以外にもフルーツなどの色素によって変えることが可能です。 さくらんぼ、イチゴ、カシス、レモン、ブドウなどを入れれば、それぞれのフルーツが持つ色によってビールの色も変わります。 ビールの原材料には、麦芽やホップ、水以外のものも使用されます。 フルーツを使うこともありますし、場合によっては鰹節などの魚介が使われることもあります。 これらは香りや苦みを加えるために使用されます。 副原料と呼ばれるものにフルーツを使うと、果実本来の色が反映されて紫色や赤色が強いビールとなります。

EBCの数値はビールの味に影響する?

色の基準指数の数値はビールの色だけでなく、味わいにも影響を与える要素です。 一般的に色が濃いビールはコクのある深い味わいで、色が薄いものはさっぱりとした爽快な味わいになるとされます。 色の濃いビールはまったりとしたコクがあり、麦が持つ本来の甘味を感じやすくなるでしょう。 対して色が薄いビールではまったりとした感じはなく、さっぱりとした爽快な飲み心地です。 理想とするビールの味は、色の基準指数によって左右されることも少なくありません。 ビールの色は見た目だけではなく、味わいにも影響を与えるものであると意識することは大切です。

EBC別におすすめのビールを紹介

それでは色の基準指数別におすすめのビールをご紹介していきます。 さまざまな色のビールをピックアップしてご紹介しますので、製造したいビールを絞り込むための参考にしてください。

EBC:8シェファーホッファーヴァイツェン

EBCが約8で、明るい色合いであるのが「シェファーホッファーヴァイツェン」です。 ドイツで製造されているビールで、1978年誕生と比較的新しいビール。 しかしオーストラリアでビール賞を受賞した経験もあり、世界的においしさが認められています。 色の基準指数8であることもあり、爽やかな味わいであることが特徴です。 またフルーティーな香りがして、ビールやお酒が苦手な方でも飲みやすいでしょう。

EBC:33ジェードオーガニック グレナード

EBC33と中間地点にあるのが、「ジェードオーガニック グレナード」です。 フランスで誕生したビールで、オーガニック原料を使用していることが特徴です。 製造では有機農法を重視し、添加物も加えられていません。 原材料はNATURE&PROGRESS認定のものしか使われていないため、健康を気にする方でも飲みやすいビールです。 味は色の基準指数33にふさわしく、甘みがありしっかりとした印象です。 一方で、香りはフルーティーで、飲みやすい仕上がりとなっています。 フルーティーな香りはザクロを使用しているのも一因でしょう。 ザクロは健康志向の方に人気のあるフルーツであり、性別を問わず楽しめるビールです。

EBC:69ギネス エクストラスタウト

「ギネス エクストラスタウト」はEBC69と、一見すると真っ黒に見えるビール。 アイルランドで誕生したビールですが、現在では全世界で親しまれています。 ギネス エクストラスタウトにおいて最も特徴的なのは、生クリームのような泡でしょう。 注ぐと弾力のあるふわふわの泡が生まれ、ビール自体の香りもチョコレートのような香ばしさを感じさせます。 味わいは重く、黒糖に似た甘みがあるため、ビールが苦手な方にはやや抵抗感があるかもしれません。 しかしその柔らかなコクは、飲むごとにクセになります。 濃厚なコクのあるビールを製造したいと考える際の参考になるビールです。

EBCとはビールの色の濃淡を示す指数

いかがでしたでしょうか? この記事を読んでいただくことで、EBCとはビールの色の濃淡を示す指数であることがご理解いただけたと思います。 SRMと呼ばれる指数もありますが、いずれも色が見た目だけでなく味わいにも影響を与えるため、ビール製造は奥深いものといえます。 もし理想のビールを製造したいけれどなかなか思うようにいかないとお悩みでしたら、スペントグレインまでご相談ください。 スペントグレインではビールの色の基準指数も含め、設備やパッケージングまで、さまざまな観点からコンサルティングをしております。 理想のビールづくりを実現するためのサポートとして、ぜひご利用ください。

この記事の監修者

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株式会社スペントグレイン
マーケティング担当者

兼 醸造アドバイザー/経営コンサルタント

<略歴>

大手経営コンサルティング会社へ就職し、地域経済の活性化に貢献するプロジェクトに多く携わり、食品やアルコールを通じた地域振興・施設開発を専門にコンサルティングを行う。経営アドバイザー・醸造アドバイザーとして地域密着型のクラフトビール事業の立ち上げから設備導入、経営戦略までを一貫して支援し、地元の特産品を活かしたビールづくりにも取り組んでいる。

<監修者から>

ビールの品質は、技術は当然のことながら、経営の安定からも生まれます。持続可能で収益性の高い事業運営を支援しながら、ビールの味わいを最大限に引き出すことが私の使命です。 良い設備がなければ、良いビールは生まれません。しかし、経営が安定してこそ、長期的に持続可能なビール文化を築けるのです。

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