クラフトビールが好きな年齢層は?消費者の傾向を解説
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- 2024.06.14
- 2024.11.01
消費者に愛されつづけるクラフトビールを生み出すのは、容易なことではありません。
しかし、クラフトビールを好んでいる年齢層がわかれば、市場を理解したうえで支持されるビールを世に生み出せる可能性が上がります。
そこで本記事では、年齢層をはじめとする消費者属性とともに、支持されるビールとはどのようなものなのかを解説します。
「売れるビールを造りたい!」とお考えの事業者様は、ぜひご一読ください。
【目次】
- クラフトビールの特徴
- 若者の“酒離れ”のいま
- クラフトビールの消費者属性
- 若い世代に好まれるビールの傾向
- クラフトビールをより幅広い世代に楽しんでもらうためには
- クラフトビールはどれくらいの頻度で嗜まれている?
- クラフトビールを好む若年層のニーズに応えた製品を開発しよう
クラフトビールの特徴
クラフトビールの消費者傾向を知るためには、まずクラフトビールの魅力をおさらいする必要があります。
クラフトビールは、日本国内で一般的な、爽快感とのど越しを楽しむ「ラガービール」ではなく、「エールビール」という豊かな香りとコクをじっくり楽しむ種類のビールです。
この醸造所独自の味わいや香りがビール愛好家のみならず、若い世代も虜にしています。
そのため、近年のビールや発泡酒全体の販売数量は減少しているものの、クラフトビールのシェア率は増えています。
日本のビール市場が現在、“第3次クラフトビールブーム”といわれているのはこれが理由です。
参照元:長崎県立大学「クラフトビールの消費者特性について」
若者の“酒離れ”のいま
クラフトビールの人気は、近年右肩上がりですが、若者のお酒の消費量の観点からみれば、酒離れが指摘されているのも事実です。
この背景には、コロナ禍による消費者行動の変化が挙げられます。
コロナ禍では、外に誰かと飲みに行く機会がぐっと減ったのを覚えている方も多いのではないでしょうか。
その結果、“わざわざコストをかけて、リアルでコミュニケーションを取らなくてもよい”と考える若者が増えたのです。
ビールに限った話だと、Z世代といわれる90年代後半~2000年代前半に生まれた方では、これより上の世代の方よりも消費量が少ないという調査結果もあります。
参照元:「若者のアルコール離れ」は本当だった!”飲酒嫌い”の若年層に人気の飲み物とは? – DIAMOND online」
参照元:厚生労働省「わが国の飲酒パターンとアルコール関連問題の推移」
クラフトビールの消費者属性
では、いったいどのような層がクラフトビールを消費しているのでしょうか?
以下で、詳しく解説します。
年齢
クラフトビールを高い頻度で消費しているのは、30代であるという調査結果が出ています。
しかし、2023年にキリンが行ったクラフトビールのイベントでは、20代の参加者が最多でした。
このことから、クラフトビールを実際に消費しているのは30代であっても、20代も興味を示していることがうかがえます。
マーケティング企業である株式会社マクロミルが実施したアンケートの結果によると、Z世代がビールを好まない理由の1位に「苦みが苦手」という声があります。
その点、エールビールであるクラフトビールは、苦みが少なくフルーティーな甘みを感じられるので、ビールが苦手な層にとっても飲みやすくなっています。
つまり、Z世代である20代がクラフトビールに惹かれるのは、「苦みが少なく、飲みやすい」からなのかもしれません。
クラフトビール事業をこれから始めるなら、クラフトビールを支持している30代をターゲットにしつつ、20代への訴求も視野に入れればマーケティングが成功するでしょう。
参照元:2024年のクラフトビール創造|購買データから見るパーセプション – ONE for BUSINESS
参照元:今、Z世代が求める「ビール」とは?【ビール消費に関する実態調査】 – マクロミル公式note
性別
若年層に支持されているクラフトビールは、性別だけで見ると、女性よりも男性に人気の傾向があります。
それは、そもそも日頃からビールを飲んでいるのは男性のほうが女性よりも多いからです。
レシート買取アプリONEを運営するWED株式会社が公開したデータでは、「未婚で子どもがいない家庭」でクラフトビールが支持されているということがわかっています。
つまり、一定以上の収入を得ている層で、日頃からプレミアム感の強いクラフトビールを常飲していることが伺えます。
高くても上質なビールを求めている男性は多いということですね。
参照元:2024年のクラフトビール創造|購買データから見るパーセプション – ONE for BUSINESS
若い世代に好まれるビールの傾向
クラフトビールに限らず、若年層が好むビールは、ずばり「飲みやすさ」にこだわったものです。
これは、マクロミルと二松学舎大学の共同調べによる「ビール消費に関する実態調査」の結果が参考になります。
同調査によると、若い世代は“コクや深みがあり、香りが楽しめる”ビールを求めているようです。
また、今後飲んでみたいビールには「とても甘いビール」を挙げている意見もあります。
ただしこれらの調査によると、ビールを嗜む若い世代全員が甘さを求めているわけではなく、苦さや辛さにも一定の需要があるようです。
若年層のなかでも、特にZ世代の方は、まだまだお酒の味を模索中であるかもしれません。
「飲んだことのないお酒に挑戦してみたいか」という問いには67%の人が肯定していることからも、それがうかがえます。
クラフトビールを生産する際は、新しい風味と飲みやすさを追求すれば、若い世代の支持が増えるかもしれません。
参照元:マクロミルと二松学舎大学の共同調べ – マクロミル公式note
クラフトビールをより幅広い世代に楽しんでもらうためには
クラフトビールをより幅広い年代の方に楽しんでもらうには、確かな味を提供するだけでなく、自社の商品を広く認知させることも重要です。
地域のお祭りやイベントに積極的に参加し、消費者と直接コミュニケーションをとって、商品を宣伝する機会を増やしましょう。
クラフトビールに興味のある消費者をブルワリーに呼んで、醸造体験に参加させ、ビールへの関心を高めてもらうのも効果的です。
さらに、現代では、SNSの活用も欠かせません。
他社とは一線を画したPRができれば、若い世代から話題をよび、SNS上で拡散してもらえる可能性が高まります。
関連記事:クラフトビール市場におけるマーケティングのコツを解説
クラフトビールはどれくらいの頻度で嗜まれている?
クラフトビールを認知している方はどれくらいの頻度で嗜んでいるのでしょうか?
看板商品である“よなよなエール”を製造するヤッホーブルーイングの調査によれば、「2、3か月に1度の頻度」と答える方がもっとも多い、25.9%という結果になりました。
また、「2~3年前に比べてクラフトビール飲む機会が増えたか」という調査で23.9%の方が増えたと回答しています。
数字だけ見れば、大きな増え方はしていませんが、それでも増えているのは事実です。
この理由としては、「スーパーで買えるようになったから」という意見がもっとも多く、次に「クラフトビールを飲める飲食店が増えたから」という意見が続いています。
クラフトビールがさらに身近になることが、消費量が増える要因だといえるでしょう。
したがって、可能な限りたくさんのスーパーや飲食店への流通量を増やすことで、数多くの消費者に手に取ってもらえる頻度を増やせる可能性があります。
参照元:クラフトビールの認知率は4割強! ヤッホーブルーイングが意識調査 – ビール女子
クラフトビールを好む若年層のニーズに応えた製品を開発しよう
今回の記事では、クラフトビールを愛飲している年齢層を紹介したうえで、それらの層のニーズに応える、ビールの製造のコツにも言及しました。
クラフトビールは、20~30代の若年層からの認知度が高く、実際に飲んで嗜んでいるのもこれらの年代の方々です。
甘みを感じられて飲みやすいビールを求めている若年層に向けて、このニーズを満たした商品を開発できれば、支持されつづけるでしょう。
マイクロブルワリー、クラフトビール開業支援のスペントグレインでは、醸造設備や施工工事だけでなく、幅広い年齢層に支持されるクラフトビールを造るための戦略もサポートいたします。
「クラフトビールをもっと広めたい!」とお考えの事業者様は、ぜひ弊社へご相談ください。
この記事の監修者
兼 醸造アドバイザー/経営コンサルタント
<略歴>
大手経営コンサルティング会社へ就職し、地域経済の活性化に貢献するプロジェクトに多く携わり、食品やアルコールを通じた地域振興・施設開発を専門にコンサルティングを行う。経営アドバイザー・醸造アドバイザーとして地域密着型のクラフトビール事業の立ち上げから設備導入、経営戦略までを一貫して支援し、地元の特産品を活かしたビールづくりにも取り組んでいる。
<監修者から>
ビールの品質は、技術は当然のことながら、経営の安定からも生まれます。持続可能で収益性の高い事業運営を支援しながら、ビールの味わいを最大限に引き出すことが私の使命です。 良い設備がなければ、良いビールは生まれません。しかし、経営が安定してこそ、長期的に持続可能なビール文化を築けるのです。