クラフトビールがまずいといわれる理由は?選び方のポイントを確認

クラフトビールはファンが多い一方で「おいしくない」「まずい」と言われてしまうことがあります。

これから新規にクラフトビール業界に挑戦しようと思っている方や、醸造所の規模拡大を考えている方は気になってしまうポイントです。

 

そこで、本記事ではクラフトビール業界に興味がある方のため、なぜ「まずい」と言われてしまうのか紹介します。

仕事としてクラフトビール製造に取り組んでいくためには消費者目線での理解を深めることも大切なので、ぜひ参考にしてみてください。

 

【目次】

クラフトビールの魅力とは?

クラフトビールは、小規模の醸造所で生産されるビールのことです。

ビールは大手メーカーが大規模な醸造工場でも生産を行っていますが、クラフトビールは大量生産されるビールとは異なる魅力があります。

 

中でも特徴的なのが、クラフトビールならではの風味と香りです。

クラフトビールは少量ずつの生産になることもあり、さまざまな挑戦ができます。

その地域ならではの素材を使ったり、独自の醸造プロセスで生産したりするなど、多くの工夫が可能です。

 

これにより、大量生産されるビールとは異なる独自の風味や香りを持つビールに仕上げることができます。

定番の風味や香りではなく、いつもとは少し違ったビールを楽しみたいと考えた場合にもクラフトビールが向いているでしょう。

クラフトビールと一般的なビールとの違い

クラフトビールと一般的なビールで特に大きく異なるのが、生産量に関することです。

大手メーカーでは大量生産を行っているのに対し、クラフトビールは小規模な醸造所によって生産されています。

 

クラフトビールは一度に生産できる量が少ないこともあり、一般的なビールと比較して希少性が高いといえるでしょう。

だからこそ、スーパーなどで購入できるビールと比較すると価格設定が高めになっています。

 

また、原材料の違いもあります。

大手メーカーが大量生産して作るビールは、多くの人の好みに合うように作られたものです。

とても飲みやすいことに加えて飲み口も軽いものが多いといえます。

 

ですが、クラフトビールの場合は各醸造所でさまざまな工夫を凝らし、大手メーカーでは挑戦しにくいような香り・味わいのビールの生産を行っているケースが多いです。

もちろん、大手メーカーが大量生産するビールと同様に飲みやすい種類を作ることもできます。

そのため、クラフトビールは味や香りの選択肢が豊富ともいえるでしょう。

 

関連記事:クラフトビールと生ビールの違いは?押さえておきたい種類や楽しみ方

クラフトビールがまずいといわれる理由

とても魅力的なクラフトビールではありますが、実際に飲んだ人から「まずい」と言われてしまうことがあります。

その大きな理由として挙げられるのが、さまざまな挑戦をしやすいクラフトビールだからこその個性によるものです。

 

普段からは大手メーカーが生産する万人受けするともいえるビールを飲んでいる場合、クラフトビールはそれよりも味わいや香りが特徴的で、まずいと感じてしまうことがあります。

特に普段からビールを飲み慣れている方の場合「ビールはこういうもの」といった味のイメージが頭の中で固まっているはずです。

 

そのイメージとは異なるクラフトビールを飲んだ時にまずいと感じてしまう方もいます。

クラフトビールのおいしさを理解するためには?

クラフトビールがまずいと感じてしまう場合は、単純にそのビールが合っていない可能性が高いです。

クラフトビールは商品によって特徴が大きく異なります。

その中から自分好みの商品を見つけていくことでおいしく感じられるようになるでしょう。

 

使われているホップの種類が異なれば苦味や香りも変わってきます。

自分がビールに対してどの程度苦みを求めているのかイメージしておくと、自分好みの苦味に近いビールを見つけやすくなるはずです。

 

例えば「クラスター」と呼ばれる多目的に使えるホップのほか、甘いフルーツのような「ガレーナ」、花のアロマが強く出る「ナゲット」など、ホップによって特徴が大きく異なります。

もし、実際に飲んでみて「まずい」と感じるクラフトビールがあった場合、それにどのようなホップが使われているのか確認しましょう。

 

次回はそれ以外のホップが使われているものや、ホップの特徴を抑えたビールを試してみるのがおすすめです。

 

関連記事:クラフトビールに欠かせないホップ!役割と代表的な種類をチェック

【初心者必見】クラフトビールの選び方

自分に合うクラフトビールを探すといっても、実に多くの種類があるため、難しいと感じてしまう方もいるでしょう。

やはり重要になってくるのは、自分に合うビールの味わいと特徴を知ることです。

まず、ビールには「エール」と「ラガー」といった2種類があります。

 

先にこのうちのどちらが自分に合っているのかチェックしてみましょう。

高温で発酵させるエールは、酸味が強く、口当たりがやわらかくなりやすい特徴を待ちます。

フルーティーなビールに仕上がるため、苦味の強いビールが苦手な方に向いているでしょう。

 

一方、低温で発酵させるラガーは苦味が強く、口当たりも濃厚になりやすいです。

エールビールと比較してアルコール度数が高いものが多く、キレのある飲み口を楽しめます。

エールビールでは何となく物足り無さを感じる方にはラガービールが向いているでしょう。

 

ただ、商品によって特徴が異なるため、実際に飲んでみなければわかりません。

可能であればエールとラガーを飲み比べてみると良いでしょう。

ビールバーやフェスティバルなどもさまざまな種類のビールを飲み比べるのに適した場です。

クラフトビールの種類と特徴

紹介したように、クラフトビールは「ラガー」と「エール」に大別されます。

それぞれ代表的な種類と特徴を紹介していきます。

自分に合ったクラフトビールを探す際にも参考にしてみてください。

IPA

エールに分類されるIPA(アイピーエー)は「India Pale Ale(インディア・ペールエール)」の頭文字をとったものです。

一般的な商品と比較してホップを大量に使用して作る特徴を持ちます。

そのため、ホップが持つ香りや苦味といったのが強く出るのが特徴です。

 

ビールといえばアルコール度数が4~%前後のものが多くありますが、IPAのアルコール度数は5.5~7.5%と高めです。

特徴の強い種類とも言えるので、一般的な味わいや香りのビールに飽きてしまった方からも選ばれています。

ペールエール

同じくエールに分類されるペールエールの「ペール」には「淡い」という意味があります。

開発された当時はほとんどのビールが濃色だったのですが、それと比較して色合いが淡いことからペールエールと呼ばれました。

 

ホップやモルトの香りが強めに出ているものが多いのも特徴です。

香りを楽しみたいときに向いているクラフトビールとも言えます。

 

ビールは冷やし過ぎると香りがわかりにくくなってしまうので、キンキンに冷やしすぎないように注意しましょう。

さまざまな料理との相性が良い種類です。

ヴァイツェン

ヴァイツェンもエールに分類され、ドイツの伝統的な白ビールです。

小麦麦芽を使っているのが特徴的で、フルーティーな香りを楽しめます。

 

また、飲み口も軽やかであるので、クラフトビールの中でも初心者向けのものを探している方に向いているでしょう。

苦味はほとんど感じません。

 

また、ヴァイツェンといってもさまざまな種類があります。

例えば、酵母を濾過していないヘーフェヴァイツェン、濾過したクリスタルヴァイツェン、焙煎した大麦麦芽を使用したドゥンケルヴァイツェンなどです。

 

他にもアルコール度数が高いヴァイツェン・ボックがあり、ヴァイツェンの中でも好みによって選択肢が分かれます。

スタウト

エールに分類されるスタウトは、まるでコーヒーのような香りと苦みが特徴的な黒ビールです。

焦がした麦芽を使用しているので、苦味が強めの複雑な味わいを楽しみたい方に向いているでしょう。

 

同様に苦味を持つチョコレートなど、お菓子やデザートとの組み合わせも向いています。

こちらも種類が豊富です。

一般的なドライスタウトのほか、甘みをつけたミルクスタウト、オートミールを加えたオートミール・スタウト、他にも種類があるので飲み比べてみると良いでしょう。

ピルスナー

ピルスナーはラガーに分類されるスタイルです。

世界的に見ても普及率が高いこともあり、日本で一般的にビールといえばこちらのビアスタイルになります。

透明感を持つ金色と白い泡、喉越しの良さなどが特徴です。

 

アルコール度数はそれほど高くないので、あまりお酒が得意ではない方にも向いています。

スッキリとした喉越しが特徴的なので、ゴクゴク飲めるのも魅力です。

 

冷えていると特に喉越しが良いので、しっかり冷やして飲みましょう。

さまざまな料理との相性が良く、料理の味を引き立ててくれます。

フルーツビール

フルーツビールはエールに分類されるスタイルです。

その名の通り、果実やフルーツ果汁といったものを使って作られています。

 

クラフトビールでは、その地域ならではの特産品のフルーツを使用してフルーツビールが作られているケースが多いです。

使用しているフルーツの種類によって味わいや香りが異なるので、非常に奥が深いともいえるでしょう。

原材料によって色も大きく異なります。

クラフトビールのコストと味の関係

クラフトビール業界に挑戦したいと考えているのであれば、コストと味の関係についても理解しておく必要があります。

まず、一般的にクラフトビールは大手メーカーが製造しているスーパーで購入可能な商品と比較すると、価格が高めです。

これには、醸造所の規模が大手メーカーと比較して小さいため、まとめて生産できないことが関係しています。

 

生産の規模が少なければその分だけ生産にかかる手間や時間が抑えられるのかというと、そうではありません。

コスト面で言えば時間も含めて一度に大量生産、大量販売した方が多くの利益につながります。

醸造所の規模によりそれが難しいクラフトビールの場合は商品単価が高くなってしまうため、コスト以上の魅力を打ち出せるようにしなければなりません。

 

特に「普通のビールより値段が高いからおいしいはず」と期待して飲んだ人からすると、好みのクラフトビールではなかったときに「まずい」といった不満が大きくなってしまうこともあるようです。

一度悪い印象を持たれてしまうと、なかなか挽回できません。

 

さまざまな味わいのビールを製造できるのがクラフトビールの魅力ではありますが、特徴が偏ってしまうとファンも偏ります。

好みに合わせて選べるように味わいの異なるビールの製造について検討してみるのも良いでしょう。

「まずい」と言われないために工夫が必要

いかがでしたか?

クラフトビールがまずいと言われる理由や、選び方のポイント、種類・特徴などを紹介しました。

自身がクラフトビールを製造する側としてファンを獲得していきたいと考えているのであれば、各ビールの味わいや香りの特徴をわかりやすく伝えることも重要です。

 

好みに合わせたビールを提案できるようになれば「まずい」と言われてしまう心配が少なくなります。

どのようなビールを製造していけばよいかわからず悩んでいるのであれば、弊社までご相談ください。

醸造所立ち上げのための総合的なコンサルティングも行っています。

 

マイクロブルワリー、クラフトビール開業支援のスペントグレインでは、醸造設備や施工工事だけでなく、酸化防止策の導入や溶存酸素管理のサポートも行っています。ビールの品質向上を目指す事業者様は、ぜひ弊社へご相談ください。

この記事の監修者

監修者の写真

株式会社スペントグレイン
マーケティング担当者

兼 醸造アドバイザー/経営コンサルタント

<略歴>

大手経営コンサルティング会社へ就職し、地域経済の活性化に貢献するプロジェクトに多く携わり、食品やアルコールを通じた地域振興・施設開発を専門にコンサルティングを行う。経営アドバイザー・醸造アドバイザーとして地域密着型のクラフトビール事業の立ち上げから設備導入、経営戦略までを一貫して支援し、地元の特産品を活かしたビールづくりにも取り組んでいる。

<監修者から>

ビールの品質は、技術は当然のことながら、経営の安定からも生まれます。持続可能で収益性の高い事業運営を支援しながら、ビールの味わいを最大限に引き出すことが私の使命です。 良い設備がなければ、良いビールは生まれません。しかし、経営が安定してこそ、長期的に持続可能なビール文化を築けるのです。

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