クラフトビールと生ビールの違いは?押さえておきたい種類や楽しみ方
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- 2024.10.31
- 2024.11.27
ビールにはいくつか種類があり、中でもクラフトビールや生ビールはすぐに思いつく方が多いのではないでしょうか。
ただ、これらの違いを明確に理解している方は多くありません。
そこで、本記事ではそれぞれの違いについて詳しく知りたい方のため、定義や種類などについて解説します。
クラフトビールの楽しみ方についても紹介するので、醸造所の新規立ち上げや規模拡大を検討している方はぜひご覧ください。
【目次】
そもそも生ビールとは?
まずは居酒屋でもおなじみの「生ビール」とは何なのか、から確認しておきましょう。
生ビールの「生」とは、加熱処理がされていないことを意味しています。
海外だと「ドラフトビール」とも呼ばれるものです。
加熱処理がされていないビールであれば、瓶のものであっても缶のものであっても「生ビール」と呼ばれることになります。
ビールには酵母が入っていますが、酵母が働き続けると発酵が進んでしまいます。
そこで、酵母を死滅させて発酵を止めるために加熱処理が行われていました。
ですが、近年は濾過の技術が進歩したこともあり、加熱処理をすることなく酵母を取り除くことができるようになっています。
これにより、大手のメーカーで販売しているビールの多くが過熱処理されていない生ビールです。
海外での生ビールの定義
日本では加熱処理されていないものが生ビールではありますが、海外の場合、定義は国によって異なります。
生ビールは海外だとドラフトビールとも呼ばれると紹介しましたが、この「ドラフト」は「汲み出す」という意味を持つ単語です。
そのため、一般的には樽からグラスに注ぎ出されたものがドラフトビールと呼ばれることになります。
ここに熱処理の有無は関係してきません。
アメリカ
アメリカの場合、樽からグラスに注ぎ出されたビールのことを「ドラフト・ビア」と呼びます。
たとえ熱処理してあったとしても樽出しのビールであればドラフト・ビアと呼ぶことも多いです。
そのため「ドラフトビール=日本のように加熱処理されていない生ビール」ではありません。
アメリカの場合、樽ではなく瓶や缶に入ったビールについても「ドラフト」という言葉が使われることもあります。
ドイツ
ドイツはビール大国として知られており、樽からグラスに注ぎ出されたビールが「ドラフトビール」です。
アメリカとは異なり、樽以外の容器に入ったものはドラフトビールとは呼ばれません。
また「生ビール」として販売できる商品については、条件が定められています。
まず、日本と同様に熱処理がされていないこと、これに加えて濾過されておらず酵母が入った状態のビールが生ビールです。
醸造所の運営や拡大を考えている方は、豆知識の一つとして押さえておくと良いでしょう。
クラフトビールと生ビールの違い
クラフトビールとは、小規模な醸造所で生産されているビールのことをいいます。
近年はクラフトビール業界が大きな賑わいを見せるようになりました。
その土地ならではの素材や水を使って作られるクラフトビールは商品によって違いが大きく、多くのファンがいます。
少量でも醸造できる強みを活かし、材料はもちろん、副原料、醸造方法まで細かくこだわった商品作りを行っている醸造所が多いです。
熱処理されていない生ビールもあれば、熱処理されているものもあるでしょう。
「クラフトビール=生ビール」ではないので、勘違いしないように注意が必要です。
また、一般的なビールでは酵母が働き続けるのを避けるために酵母を濾過したり熱処理したりしていますが、クラフトビールの中には酵母を濾過せず、酵母が生きた状態で出荷するものも多くあります。
酵母が生きていれば発酵を止めることはできません。
そのため、発酵しすぎない状態で飲んでもらうために冷蔵庫での保管をお願いしていたり、賞味期限が短く設定されていたりするものもあります。
クラフトビールと地ビールの違い
クラフトビールと地ビールはほぼ同じものです。
どちらも規模の小さい醸造所で作られたビールのことを指します。
もともとビールを製造して販売する場合、年間で2,000キロリットル以上作らなければならないと法律で定められていました。
結果的に大きな工場を作れる企業でなければ事業に取り組めません。
ですが、法律が変わり、1年間で最低でも60キロリットル以上作ることができればビールの製造・販売が認められるようになりました。
これに伴い小さな醸造所が増え、地元のお土産として販売されていたのが「地ビール」です。
ただし、おいしいといえるものは少なく、徐々に注目が薄れていきました。
その後、2000年代にアメリカでクラフトビールの人気が高まり、日本でも地ビールに再度注目が集まりました。
ただ、日本では「地ビール=おいしくない」といったイメージがあったため、この地ビールと差別化する目的で名付けられたのが「クラフトビール」です。
近年は地ビールという言葉はあまり聞かなくなり、クラフトビールが主流となりました。
クラフトビールの種類
クラフトビールは、大きく分けると「ラガービール」と「エールビール」の2種類に分類されます。
それぞれの特徴を確認しておきましょう。
ラガービール
ラガービールとは、涼しい温度帯で活発に活動するラガー酵母を使って作られたビールです。
喉越しがスッキリしているのが特徴で、ゴクゴク飲めます。
下面発酵で沈殿するのも特徴です。
日本では多くのビールがラガービールに該当します。
エールビール
ラガービールよりも高い温度帯で活発に働く上面発酵のエール酵母を使って作るビールが、エールビールです。
常温の温度体で発酵することから、古くからエール酵母を用いたビールの製造が行われてきました。
フルーティーな香りが楽しめるほか、コクがあります。
ゴクゴクと飲むというよりも、ワインのようにじっくり楽しむのに向いているビールです。
香りや味などで個性を出しやすい特徴があることから、クラフトビールではエールビールが選択されるケースが多くあります。
クラフトビールの楽しみ方
クラフトビールは、広く流通しているビールと比較して各醸造場がこだわり抜いて作った個性豊かな味わいが特徴的です。
クラフトビールを楽しむ際には、香りと色、味わい、料理とのマリアージュに注目してみましょう。
香り
クラフトビールの大きな特徴とも言えるのが、豊かな香りです。
クラフトビールといっても、商品によって香りは大きく異なります。
これは、原材料や作り方が異なるためです。
フルーティーな香りが特徴的なものもあれば、チョコレートやナッツなどの特徴的な香りの商品もあります。
キンキンに冷やしすぎてしまうと香りが弱まってしまうので、飲む温度にもこだわりましょう。
色
クラフトビールは、商品によって色の違いも大きいです。
そのため、色合いがキレイに見えるビールグラスに注いで楽しみましょう。
ビールの色を左右するのは、モルト(麦芽)の種類です。
低温で乾燥させたモルトは淡い色になる一方で、高温で乾燥させたものは濃い色になります。
ビールグラスに注いだら光に透かして色を楽しみましょう。
味わい
クラフトビールは、飲み方によって味わいが変化します。
飲み始めのトップ、中盤あたりのミディアム、後味のフィニッシュ、それぞれの味わいを確認してみましょう。
また、温度によっても味わいが変わるので、グラスに注いで一気に飲んでしまうのではなく、少し時間を置いて温度が変わったものも飲んでみるのがおすすめです。
関連記事:クラフトビールがまずいといわれる理由は?選び方のポイントを確認
料理とのマリアージュ
クラフトビールは、料理とのマリアージュにも適したお酒といえます。
相性の良い料理・ビールを見極めるポイントは、色です。
色の薄いクラフトビールには白身魚のカルパッチョや貝類のワイン蒸しなどのさっぱりとした料理、色の濃いクラフトビールにはトンカツなど揚げ物系が合います。
いろいろ試してみましょう。
ビールの種類によって違いが大きい
いかがでしたでしょうか?
クラフトビールと生ビールの違いや、定義、それぞれの特徴などを紹介しました。
楽しみ方のポイントについてもご理解いただけたかと思います。
クラフトビールは製造にこだわり抜いて個性を出しやすいビールです。
理想の香りや色、味わいを追求し、おいしいクラフトビール製造につなげましょう。
弊社では現役醸造家がこだわりを実現するためのサポートを行っています。
クラフトビール業界に参入したいけれど専門的な知識がなく自信がないといった方もぜひご相談ください。
マイクロブルワリー、クラフトビール開業支援のスペントグレインでは、醸造設備や施工工事だけでなく、酸化防止策の導入や溶存酸素管理のサポートも行っています。ビールの品質向上を目指す事業者様は、ぜひ弊社へご相談ください。
この記事の監修者
兼 醸造アドバイザー/経営コンサルタント
<略歴>
大手経営コンサルティング会社へ就職し、地域経済の活性化に貢献するプロジェクトに多く携わり、食品やアルコールを通じた地域振興・施設開発を専門にコンサルティングを行う。経営アドバイザー・醸造アドバイザーとして地域密着型のクラフトビール事業の立ち上げから設備導入、経営戦略までを一貫して支援し、地元の特産品を活かしたビールづくりにも取り組んでいる。
<監修者から>
ビールの品質は、技術は当然のことながら、経営の安定からも生まれます。持続可能で収益性の高い事業運営を支援しながら、ビールの味わいを最大限に引き出すことが私の使命です。 良い設備がなければ、良いビールは生まれません。しかし、経営が安定してこそ、長期的に持続可能なビール文化を築けるのです。