「ケグ」と「カスク」の違いとは?8つの観点から見た違いについて
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- 2025.02.21
- 2025.02.21
ブルワリーの新規立ち上げや事業拡大を目指している方に向けて、「ケグ」と「カスク」の違いについて解説します。
ビールの保管には、ケグまたはカスクが使用されます。
しかし「ケグとカスクにはどのような違いがあるのか?」「どちらで保管するべき?」と悩む方は少なくありません。
そこで今回の記事では、ケグとカスクの違いについて、8つの観点から解説します。
この記事を参考にすることで、どちらで保管すれば理想のビールに近づけるのかを理解できるでしょう。
【目次】
id=”title1″ class=”wp-block-heading”>ケグとカスクの違い
では、『ケグ』と『カスク』の違いを解説します。
素材や形、管理方法、味など、さまざまな視点から違いを見ていきましょう。
違い1:素材
まずは素材の違いから比較していきます。
【素材の違い】
- ケグ:ステンレス製・プラスチック製
- カスク:木製・ステンレス製・紙製
ケグとカスクでは使用される素材が異なり、ケグはほとんどがステンレス製です。
しかしカスクは木製であったり、ステンレスや紙で作られていたりすることもあります。
どちらも樽という点では共通していますが、ケグはステンレスやプラスチック製が多く、中のビールに負担をかけにくいとされています。
ケグはカスクよりも炭酸が柔らかく、鮮度が保たれやすいという特徴があります。
そのため、ケグとカスクの選択によってビールの味わいが変わる可能性があるでしょう。
炭酸がしっかりとしたビールを製造するのであれば、カスクのほうが良いかもしれません。
違い2:注ぎ方
続いては注ぎ方の違いについてです。
【注ぎ方の違い】
- ケグ:樽の上部に注ぎ口がありカプラーを注ぎ口に装着し、炭酸ガスの圧力によって注ぐ
- カスク:樽の横に注ぎ口があり、重力を使って注ぐ
ケグとカスクでは注ぎ方にも違いがあります。
ケグでは樽の上部に注ぎ口があり、注ぎ口の形状にあったカプラーと呼ばれるパーツを装着するのが基本です。
注ぎ口の形状にはD・S・A・G・U・Mなどがあり、それぞれの形状に適したカプラーを準備する必要があります。
また、注ぐ際には炭酸ガスの圧力を利用します。
一方、カスクは樽の横に注ぎ口がある点が特徴です。
炭酸ガスの圧力ではなく重力で注ぎます。
これは、カスク内のビールがほぼ無炭酸である場合が多いためです。
炭酸ガスの圧力を活用できない程度の炭酸しか含まれていません。
以上のように、ケグとカスクは素材だけでなく注ぎ方にも大きな違いがあります。
違い3:形
ケグとカスクには形の違いもあります。
【形の違い】
縦置きで設置される樽がケグで、横置きで保管される木樽がカスクです。
形状は見た目で判断しやすいため、違いを知っておくと簡単に区別できます。
違い4:詰めたあとの品質
ここでは、ケグとカスクに詰めた後の品質の違いについて解説します。
【詰めたあとの品質の違い】
- ケグ:炭酸ガスによって品質が安定する
- カスク:発酵が続くため飲むタイミングによって品質が変わる
ケグに保存されているビールは、炭酸ガスが多く含まれています。
そのため炭酸ガスの効果で品質が安定し、いつ飲んでも同じ味わいを楽しめます。
しかしカスクは違います。
カスクの中のビールには炭酸ガスがほとんど含まれておらず、ろ過もしないため品質が安定しにくく発酵が続きます。
そのため、飲むタイミングによって味わいが変化する点が特徴です。
どちらが良いかは、提供するタイミングや目的によって変わります。
ただし、ケグでは品質が安定しやすく、カスクでは発酵が続くという違いを知ることは、ビール製造において重要です。
違い5:管理方法
ビールの品質や味わいは管理方法によって変化しますが、ケグとカスクでは管理方法が異なります。
【管理方法の違い】
- ケグ:低温保存が可能で管理が容易
- カスク:発酵が進むため温度・色・香りの管理が必要
ケグは先に解説したように、炭酸ガスによって品質が安定します。
そのため低温で保存をすれば、管理に手間がかかりません。
頻繁に様子を見る必要がなく、そのままの品質で保管できます。
しかしカスクで保管されるビールは、炭酸ガスが少なく、保管中も発酵が進んでしまいます。
そのため温度や色、香りが変わっていないか、管理中に頻繁に確認する必要が生じます。
発酵具合を確かめなければならないため、カスクで保管するビールのほうが管理が難しいといえます。
違い6:味
ケグとカスクの違いについて、続いては味の観点から解説します。
【味の違い】
- ケグ:一般的なビールよりは炭酸が柔らかくて新鮮な味わい
- カスク:ビールが持つ味や香り、コクをダイレクトに感じられるが、発酵により味わいが変わることもある
ケグはステンレスもしくはプラスチックで作られています。
そのためビールの鮮度を保ちやすく、新鮮な味わいを感じられるでしょう。
一般的なビールよりも炭酸が柔らかい点が特徴です。
対してカスクは、炭酸による爽快感よりも味や香り、コクを味わいたい方に向いています。
「リアルエール」とも呼ばれており、無炭酸で素材の味を感じられるのがカスクで保管されたビールです。
ただしカスクの中のビールは、保存中に発酵が進みます。
そのため、発酵によって味わいが変化する場合があります。
新鮮なビールであればケグで保管したほうを、まろやかでコクのあるビールであればカスクで保管したほうがよいでしょう。
違い7:容量の種類の豊富さ
ケグとカスクにはさまざまな違いがありますが、容量の種類もそのひとつです。
【容量の種類】
- ケグ:7L・10L・15L・19L・20L
- カスク:約40L
メーカーにより違いますが、多くのビールメーカーの場合、ケグでは10Lもしくは20Lを使っていることが多いようです。
中には7Lや19Lなどのケグを使っているメーカーもあります。
カスクの場合は約40Lと統一されています。
正確にいうと、1ファーキンである39.75Lがカスクの容量です。
ケグとカスクは同じくビールを保管する樽でありながら、容量の種類にも差があります。
違い8:リターナブル性
最後にご紹介するのは、リターナブル性についてです。
【リターナブル性】
- ケグ:洗浄をしたうえで再利用が可能
- カスク:ガーデニング資材などとして再利用可能
ケグは基本的に、ビールを保管する役割を終えたら、洗浄され再度使用されます。
ただし再利用されず、使い捨てとされるケグも。
一般的にケグのほうがリターナブル性が高いとされていますが、再利用されず捨てられてしまうこともあるでしょう。
対してカスクは、ビール樽として再利用されることはほとんどありません。
利用されるとすれば、ガーデニング資材として鉢やプランターとしての生まれ変わりです。
手間がかかるとはいえ、カスクもビール樽としての役割を終えた後、何らかの形で再利用されています。
そのためどちらがリターナブル性に優れているかは、ケースバイケースです。
使い捨てのケグの場合、カスクのほうがリターナブル性に優れているかもしれません。
しかしそのままビール樽として再利用できるケグであれば、カスクよりもリターナブル性に優れていると言えます。
リターナブル性については、どちらが優れているかは一概には言えません。
ケグとカスクの違いはビールの品質にも影響を及ぼす
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、ケグとカスクの違いについてご理解いただけたと思います。
ケグとカスクは形状や注ぎ方だけでなく、保管しているビールの品質にも影響を与える要素です。
これからブルワリー開設を検討している方は、本記事の内容を参考にしてください。
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