クラフトビールの設備はメンテナンスが重要!ポイントや手順は?
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- 2024.09.06
- 2024.11.01
クラフトビール造りを行う場合、そのための設備を用意しなければなりません。
用意した設備は適切にメンテナンスを行っていくことにより快適に使用できるのはもちろん、長持ちさせることも可能です。
ですが「そもそもどのような設備が必要なの?」「メンテナンスが大変そう」と感じている方もいるのではないでしょうか。
そこで、本記事ではクラフトビールの設備について詳しく知りたい方のため、必要な設備やメンテナンスについて解説します。
この記事を読むことでどういったメンテナンスを行う必要があるのかなどがわかるので、ぜひご覧ください。
【目次】
クラフトビール造りに用いる主な設備
クラフトビール造りで必要な設備はいくつかあります。
中でも代表的なのが、仕込みタンク・発酵タンク・ろ過タンク・温水タンクの4つです。
それぞれの特徴と役割から解説します。
仕込みタンク
クラフトビールの糖化や煮沸、ワールと呼ばれる沸後の液体を冷却するためのタンクです。
まず、製麦した麦芽を粗めに粉砕し、仕込みタンクに入れて糊化を行います。
麦芽にはでんぷんが含まれているのですが、そのままの大きさではうまく酵母の細胞内に取り込めません。
酵素がそのでんぷんを糖に分解できるようにするためには、小さくする必要があります。
そのための作業が糊化です。
仕込みタンクに麦芽を入れ、お湯で加熱処理をすることで糊状にし、糊化を行います。
その後、酵素の働きにより糊化した麦芽のでんぷんが糖に変えられ、タンパク質はペプチドとアミノ酸に分解されます。
これが糖化です。
糖化が終わったら固形物を除去のためのろ過を行ってからホップを加えて煮沸、煮沸が完了したら発酵に適した温度まで冷却して酵母を増殖させるための酸素を供給します。
発酵タンク
発酵タンクは酸素を供給された麦汁を発酵させるためのものです。
内部では酵母の働きによって発酵が進み、1週間ほどかけてビールを作ります。
この段階ではまだ若ビールと呼ばれるものであり、またビール本来の味、香りはついていません。
その後、低温で数十日間~数カ月間を貯蔵される間に少しずつ熟成が進み、ビールとして仕上がっていきます。
ろ過タンク
貯蔵されたあとは、ろ過を行います。
ろ過の目的は、ビールから不純物を除去し、透明度を高めるためです。
また、残留物を取り除くことで品質が安定します。
温水タンク
糖化のための工程では、温水を供給しなければなりません。
そのために必要なのが温水タンクです。
糖化するためには特定の温度の温水を供給しなければならないことから、重要な役割を持ちます。
クラフトビール設備のメンテナンスの重要性
おいしいクラフトビール造りを行うためにも、設備のメンテナンスは非常に重要な意味を持ちます。
もしメンテナンスを行わなかった場合、ビールの品質が悪化してしまう可能性もあるため、十分注意が必要です。
クラフトビールといえば、味や香りが評価の対象となりますが、メンテナンスを怠ってしまうとこれらに影響が出ます。
設備が不衛生な状態になれば衛生面での問題も出てくるでしょう。
それから、整備を長持ちさせるためにもメンテナンスが欠かせません。
クラフトビール造りで必要な設備は安いものではないため、できるだけ長持ちさせたいところです。
メンテナンスを怠ってしまうと早期に買い換えが必要になることもあります。
メンテナンスの頻度とポイント
メンテナンスの頻度は、使用している設備によっても変わります。
また、長年使用している設備は不具合も出やすくなっているため、メンテナンスの頻度を高めなければなりません。
なかなか毎日メンテナンスを行うのは難しいものがありますが、頻繁にメンテナンスが難しいものであっても月に1回程度は点検が必要です。
設備が正しく動作するか、使用している部品はどの程度摩耗しているかなどをチェックしましょう。
衛生的な状態が保てているか確認することも重要です。
メンテナンスの手順
基本的なメンテナンスの手順を解説します。
【手順】
- ボイルケトル:洗浄、すすぎ、乾燥、センサーの点検
- 熱交換器:清掃、状態の確認
- 発酵タンク:洗浄、すすぎ、バルブやセンサーの点検
ボイルケトルとは、麦汁を沸騰させるための設備です。
また、熱交換器とは麦汁の温度を下げる設備のことをいいます。
発酵タンクはアルカリ性の洗剤で洗浄してから酸性洗剤で中和し、すすぎを行いましょう。
クラフトビール業界の醸造設備のトレンド
クラフトビール業界で使用する設備にはさまざまな種類があります。
数ある中でもトレンドになっているのが、小規模ながら高性能な設備と、日本独自の醸造技術を取り入れた設備の2つです。それぞれ紹介します。
関連記事:ビール醸造所の設備の選び方とは?購入時のポイントも解説
小規模ながら高性能な設備
クラフトビール製造に興味はあるけれど、大規模な工場は用意できないといったケースで選ばれるのが、小規模ながら高性能な設備です。
大規模なものと比較してコンパクトなスペースで利用できるだけではなく、購入のための費用も抑えられます。
定番として200L~500Lのタンクを持つ設備が人気です。
また、小規模の設備であれば複数台導入することも考えられるため、いろいろな種類のクラフトビールを少しずつ生産したいと考えている場合にも向いています。
日本独自の醸造技術を取り入れた設備
日本独自の伝統や醸造技術といったものを取り入れた設備も人気です。
日本ならではの良さを活かしたビール造りに挑戦したいと考えている方から選ばれています。
海外で生産されているビールとはひと味違ったクラフトビール造りに興味を持っている方も、日本独自の醸造技術を取り入れた設備の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
関連記事:ターンキー醸造所とは?種類と選び方を解説
適切なメンテナンスを行うからこそおいしいビールができる
いかがだったでしょうか。
クラフトビール造りで使われる設備や、メンテナンスについて解説しました。
おいしいビールを作っていくためには、設備のメンテナンスが欠かせません。
そのためには、メンテナンスしやすい設備を導入することも重要といえます。
日々を行う必要があるメンテナンスについて学び、大掛かりなメンテナンスはプロに任せましょう。
マイクロブルワリー、クラフトビール開業支援のスペントグレインでは、醸造家としての経験を活かし、醸造家のための設備を提案しています。
導入後のメンテナンスも行っているので、総合的に相談したい、任せたいとお考えの事業者様はぜひご相談ください。
この記事の監修者
兼 醸造アドバイザー/経営コンサルタント
<略歴>
大手経営コンサルティング会社へ就職し、地域経済の活性化に貢献するプロジェクトに多く携わり、食品やアルコールを通じた地域振興・施設開発を専門にコンサルティングを行う。経営アドバイザー・醸造アドバイザーとして地域密着型のクラフトビール事業の立ち上げから設備導入、経営戦略までを一貫して支援し、地元の特産品を活かしたビールづくりにも取り組んでいる。
<監修者から>
ビールの品質は、技術は当然のことながら、経営の安定からも生まれます。持続可能で収益性の高い事業運営を支援しながら、ビールの味わいを最大限に引き出すことが私の使命です。 良い設備がなければ、良いビールは生まれません。しかし、経営が安定してこそ、長期的に持続可能なビール文化を築けるのです。