ビールに含まれる炭酸の正体と泡との関係・炭酸が果たす重要性を解説
- 原材料
- 2025.02.21
- 2025.08.01

ビールは適度な苦みの中に風味やまろやかな飲み心地があり、いくつもの要素で構成されている飲み物です。
炭酸が含まれているため、冷やして飲むと常温では得られない爽快感が楽しめることもビールの魅力です。
冷やして飲むことで、炭酸が効き、強い爽快感とすっきりしたのど越しを楽しむことができます。
ビールは炭酸を添加するのではなく、醸造過程で発生した炭酸ガスをそのまま使用しています。
この記事では、ビールに炭酸が含まれる理由を中心に、おいしいビールを提供するためのコツを解説します。
炭酸の重要性や、ビールを強制的に炭酸化する方法についても詳しく解説します。
【目次】
- なぜビールには炭酸が含まれているのか?
- 炭酸の重要性
- ビールを強制的に炭酸化する方法
- ビールの炭酸を保つ方法
- おいしいビールを提供するためのコツ
- ビールに含まれる炭酸が風味や爽快感を生み出す
- 保管温度に気を配る
- 適切な容器を使う
- 急激な温度変化を避ける
- やさしく注ぎ入れる
なぜビールには炭酸が含まれているのか?
ビールは、大麦と酵母を使用して発酵させることで醸造されます。
具体的には、酵母が麦芽糖と呼ばれる糖分を消費しながらアルコールと二酸化炭素を生成します。
この二酸化炭素がビールに溶け込むことで炭酸ガスとなり、シュワシュワとした飲み口が生まれます。
炭酸飲料に含まれる炭酸は、あとから炭酸ガスを添加するため、ビールの炭酸とは異なります。
炭酸という点では同じですが、市販の炭酸飲料は外部から炭酸ガスを注入しているため、生成方法がビールとは異なります。
ビールの醸造中は、発酵タンクの中で炭酸ガスが自然に発生します。
この炭酸ガスが液体中に溶け込むことで泡立ちが生まれ、風味が形成され、爽快な飲み心地が生まれます。
炭酸の重要性
炭酸は、のど越しや爽快感を生み出し、ビールらしい見た目を引き立てます。
炭酸が果たす2つの役割について詳しくみていきましょう。
のど越しや爽快感を生む
発酵の過程で生成される二酸化炭素がビールに溶け、炭酸ガスとして爽快感を生み出します。
キリッとしたのど越しの良さは、まさにこの炭酸ガスの作用によるものです。
炭酸を含む泡はシュワシュワとした刺激を持ち、口にしたとき特有の爽快感をもたらします。
また、ビールを冷やすとその作用はさらに増し、冷たさが加わって一層の爽快感となります。
さらに、それぞれのビールが持つ風味が加わることで、爽快感と相まって満足感のある飲み応えが生まれます。
常温でも冷やしてもリフレッシュできる飲み物として人気を集めているのです。
見た目や感触も楽しめる
ビールといえば、たっぷりとした泡がせり上がり、泡だけを飲んでも美味しく感じられます。
この泡は、ビール内に溶け込んでいる炭酸ガスが気泡となって発生したものです。
炭酸ガスの量が多いほど泡がたくさん発生しますが、ガスの中には炭水化物やたんぱく質、ホップ樹脂といった細かな成分が含まれています。
グラスに注いだときの泡を楽しみにしている人も多く、炭酸の作用がビールの見た目や飲み口の感触を向上させています。
ビールを強制的に炭酸化する方法
ビールを強制的に炭酸化するためには、外部から炭酸を添加する方法や、ボトルコンディショニングと呼ばれる二次発酵を促す方法が挙げられます。
前者の方法では、二酸化炭素ガスをビールに直接注入するか、ホームブリューイング時にビールを密閉容器に入れ、炭酸ガスボンベで高圧をかけて炭酸ガスを溶け込ませます。
商業用に製造されるビールは、専用のタンクを使ってビールにガスを注入する方法がとられています。
タンクを使うことで液体が均一に炭酸化され、品質にばらつきがなく安定します。
後者のボトルコンディショニングとは、醸造したビールを瓶詰めする際に、少量の糖と酵母を追加し、二次発酵を促す方法です。
二次発酵により自然に炭酸ガスが発生するため、外部から添加せずに自然な炭酸の風味が生まれます。
ビールの炭酸を保つ方法
ビールの炭酸を保つためには、次の方法を押さえましょう。
一般的に、ビールは常温ではなく2〜7度の冷蔵で保存する飲料です。
温度が高くなると炭酸ガスの放出が促進され、液体内のバランスが崩れ、フレーバーにも影響を与えるためです。
保存には、炭酸ガスが抜けにくい密閉容器を使用しましょう。
ビール専用のボトルは特に炭酸ガスを封じ込める作用があります。
炭酸ガスは急激な温度変化にも弱いため、冷やしていたのに突然高温の場所に放置するといった変化を加えないように注意しましょう。
冷蔵庫などの保管場所では、急にスイッチを切ることのないよう、庫内の温度を一定に保ちましょう。
ビールを注ぎ入れるときは、グラスをゆっくりと傾けて注ぎ入れます。
一気に注ぐと炭酸ガスが大量に放出され、泡が大量に発生して炭酸が急速に抜けてしまいます。
おいしいビールを提供するためのコツ
おいしいビールを提供するためには、2〜7度で保存し、急激な温度変化を避けながら提供することが大切です。
グラスはビールの品種に合うものを選び、ゆっくりと傾けながら注ぎ入れます。
ビールの液体だけでなく、泡も楽しめるよう注ぎ方を工夫して泡を作ります。
また、ビールの保存期間にも注意が必要です。
他の飲料と同様、賞味期限を過ぎると風味が劣化し、炭酸が抜けやすくなります。フレッシュな状態で提供するために、保存期間に配慮しましょう。
ビールに含まれる炭酸が風味や爽快感を生み出す
この記事では、ビールの炭酸について、発生の仕組みや泡との関係、炭酸の役割を解説しました。
ビール特有の爽快感やたっぷりとした泡が好きという方は少なくありませんが、多くの場合、ビールの醸造過程で自然に発生した炭酸ガスが品質や見た目に影響を与えています。
ビールはそれ自体が厳重な品質管理のもとに製造されているため、すぐに炭酸が抜ける心配はありません。
しかし、常温や温度変化の多い場所で放置したり、密閉せずに保存すると炭酸が失われてしまいます。爽快感や風味を楽しむためには、適切な環境で保存することが重要です。
この記事の監修者

株式会社スペントグレイン
マーケティング担当者
兼 醸造アドバイザー/経営コンサルタント
<略歴>
大手経営コンサルティング会社へ就職し、地域経済の活性化に貢献するプロジェクトに多く携わり、食品やアルコールを通じた地域振興・施設開発を専門にコンサルティングを行う。経営アドバイザー・醸造アドバイザーとして地域密着型のクラフトビール事業の立ち上げから設備導入、経営戦略までを一貫して支援し、地元の特産品を活かしたビールづくりにも取り組んでいる。
<監修者から>
ビールの品質は、技術は当然のことながら、経営の安定からも生まれます。持続可能で収益性の高い事業運営を支援しながら、ビールの味わいを最大限に引き出すことが私の使命です。 良い設備がなければ、良いビールは生まれません。しかし、経営が安定してこそ、長期的に持続可能なビール文化を築けるのです。