【2026年最新版】日本におけるクラフトビールの売上の傾向を解説
- 経営ガイド
- 2024.06.14
- 2026.02.16
近年、ビール市場全体が縮小傾向にあるなかでも、クラフトビール市場は確実に存在感を高めています。
「市場規模はどの程度か」「本当に成長しているのか」「2026年以降も伸びるのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、2026年時点で把握できる最新データと制度動向をもとに、日本のクラフトビール市場の売上傾向と今後の展望を整理します。
クラフトビール事業への参入や拡大を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
【目次】
- クラフトビールの概要
- 国内市場規模と最新売上データ
- 2026年10月 酒税一本化の影響
- 2026年注目のトレンド
- 日本発!売れている人気のクラフトビール5選
- クラフトビールはなぜ人気なのか
- 日本のクラフトビールの売上の傾向を知り事業に活かそう
クラフトビールの概要
クラフトビールとは、小規模の醸造所で作られる、個性的なビールを指します。
大規模の醸造所で作られるビールとは違った、小規模ならではのこだわりや遊び心が、ふんだんに詰まった点が魅力です。
かつてブームになった地ビールも、小規模の醸造所で作られるため、クラフトビールとどのように違うのか疑問に思う方も多いでしょう。
経緯としては、1994年に小規模のビール醸造所が生まれ、そこで作られたビールが地ビールとして人気を得ましたが、一過性のブームで終わってしまいました。
その後、アメリカでクラフトビールが評判になり、その流れを受け、地ビールが“日本のクラフトビール”として再評価されるようになったわけです。
クラフトビールのクラフトは、工芸品(クラフト)からきており、ビールに作り手の情熱が込められていることを象徴しています。
また、クラフトマンシップ=職人芸といった意味合いも込められていて、大量生産品との差別化を表しています。
近年は、ますます個性的で魅力的なクラフトビールが増えており、今後もクラフトビール市場から目が離せません。
関連記事:【保存版】クラフトビールを開業するには?設備・許可・費用まとめ
国内市場規模と最新売上データ
日本クラフトビール業界団体連絡協議会(クラビ連)の2023年度市場実態調査によると、
- 国内出荷数量:44,528kL
- 売上金額:約386.7億円
と推計されています。
これは大手5社を除いたクラフトカテゴリーのみの数値です。
ビール市場全体が縮小傾向にある中でも、クラフト分野は堅調な推移を見せています。
規模としてはまだ数百億円規模ですが、ニッチから「確立したサブカテゴリー」へと進化しつつある段階といえます。
出典:日本クラフトビール業界団体連絡協議会 2023年度市場実態調査
ビール市場全体とのシェア比較
クラフトビールの市場シェアは、ビール類全体の中では依然として小規模です。
しかし注目すべきは、縮小する全体市場の中で相対的に存在感を高めている点です。
大手メーカーもクラフトブランドを展開しており、市場構造は単純な「大手 vs 小規模」という図式ではなくなっています。
つまり、クラフトは「対抗軸」ではなく、ビール市場の中の重要な価値セグメントへ移行しているといえます。
2026年10月 酒税一本化の影響
財務省資料によると、2026年10月にビール系飲料の税率が一本化されます。
- 税率:1kLあたり155,000円
- 350ml換算:54.25円
これにより、ビール・発泡酒・新ジャンルの価格差構造が変化します。
価格設計や商品区分による戦略が再編される可能性があり、2026年以降は「商品設計の前提」が変わる年といえます。
出典:財務省 酒税関連資料
2026年注目のトレンド
2026年のクラフトビール市場は、「味の多様化」だけで語る段階を過ぎています。
消費の動機そのものが変化しており、ブルワリーには“商品設計”と“体験設計”の両立が求められています。
ノンアル・低アルの拡大
健康志向の高まりや休肝日の定着により、「酔うこと」を前提としないビール消費が広がっています。
特に若年層では、アルコール度数よりも“味や香りの体験”を重視する傾向が見られます。
従来のノンアルビールは「代替品」という立ち位置でしたが、現在は
- ホップ香を前面に出したノンアルIPA
- フルーツを使った低アルエール
- ウェルネス志向(糖質・カロリー配慮)
といった、“積極的に選ばれる商品”へと進化しています。
これは市場の縮小要因ではなく、クラフトが新規顧客層へ広がる入口と捉えるべきでしょう。
推測ですが、今後は
「アルコール入りとノンアルを同時展開するブランド」が標準化していく可能性があります。
ギフト需要の安定化
クラフトビールは、贈答品としての適性が高いカテゴリーです。
理由は明確です。
- デザイン性が高い
- ストーリーが語れる
- 飲み比べという“体験”を提供できる
父の日や誕生日、年末年始などのイベント需要はすでに定着しつつあり、
「少し高くても良いものを贈る」層との相性が良い分野です。
特に2025年以降はEC経由のギフト需要が増加傾向にあります。
D2Cとの相性が良いため、直販モデルで利益率を高めやすい構造が生まれています。
単品勝負よりも、
・限定醸造
・季節セット
・コラボパッケージ
といった企画型商品が強い傾向にあります。
ブランド世界観の強化
現在のクラフトビール市場では、「美味しい」だけでは差別化が難しくなっています。
消費者が見ているのは、
- ラベルデザイン
- コピーやネーミング
- Webサイトの世界観
- SNSでの表現
- 店舗体験(タップルーム含む)
といったブランド全体の一貫性です。
特にSNS時代では、“写真映え”や“ストーリー性”が購買の引き金になります。
これはマーケティング的には
プロダクト中心からブランド中心への移行とも言えます。
推測ですが、今後は
「醸造家の思想」や「地域との関係性」を前面に出すブランドが強くなる傾向が続くでしょう。
サステナビリティ意識
クラフトビールは、もともと地域密着型のビジネスと相性が良いカテゴリーです。
近年はさらに、
- 麦芽かす(Spent Grain)の再利用
- 地元農家との原料連携
- フードロス削減型ビール
- 環境配慮型パッケージ
- 再生可能エネルギー利用
といった取り組みが増えています。
消費者は価格や味だけでなく、
「このブランドを応援したいか」という感情で選ぶ傾向を強めています。
これは単なるCSRではなく、ブランド価値の一部になりつつあります。
日本発!売れている人気のクラフトビール5選
「クラフトビールを作るにあたって、売れているビールを参考にしたい」という方のために、ここからは、日本で作られている人気のクラフトビールを5つ紹介します。
①よなよなエール
クラフトビールの老舗、ヤッホーブルーイングが作る『よなよなエール』は、飲んだ瞬間にオレンジやマスカットといったフルーティーな甘味が口に広がります。
苦味は強めですが、全体的なバランスが良く、飽きのこない味わいです。
②銀河高原ビール
『銀河高原ビール』も、ヤッホーブルーイングから販売されているクラフトビールです。
特徴としては、バナナのような芳醇な香りで、口当たりはまろやかでコクがあるという点が挙げられます。
苦味が少ないため、一般的なビールが嫌いな方にもおすすめです。
③軽井沢ビール
缶のデザインに、画家の千住博氏の『星のふる夜に』という絵画を用いた、情景溢れるクラフト缶ビールが『軽井沢ビール』です。
バナナのようなフルーティーさが印象に残る、のどごしが柔らかい飲み口が特徴です。
④東京クラフト
『東京クラフト』には、北米産のカスケードホップがふんだんに使用されています。
フタを開けると、柑橘系のフルーティーな香りが広がります。
質の良い苦味があるため「ビールには苦味も欲しい!」という方は、ぜひ一度手に取ってみてください。
⑤SPRING VALLEY
『SPRING VALLEY』は、海外産ホップと日本産ホップが組み合わさった、香り豊かなクラフトビールです。
苦味を抑えたいときには泡を多めに、苦味を感じたいときは泡を少なく注ぐなど、注ぎ方によって味わいが変化するのが大きな特徴です。
甘味、酸味、苦味の絶妙なバランスと、飲み終わりの深い余韻を楽しめます。
クラフトビールはなぜ人気なのか
勢いが止まらないクラフトビール、人気の理由が気になりますよね。
まず理由として挙げられるのが、地域性や独自性に特化しており、特定の地域や店舗でしか飲めないという“特別感”がある点です。
最近は都内でもクラフトビールを扱う店が増えてきていますが、店によってビールの個性は異なり、同じものは一つとしてありません。
次に、“飲みやすさ”も大きな理由の一つです。
クラフトビールのなかには、飲みやすさを重視して作られた、フルーティーで甘味があるビールもあります。
もともとビールが好きな人だけではなく、苦味のあるビールに苦手意識をもつ人たちにも人気を博しているからこそ、クラフトビールは世間に広まったのです。
関連記事:クラフトビール市場におけるマーケティングのコツを解説
日本のクラフトビールの売上の傾向を知り事業に活かそう
今回は、日本のクラフトビール市場における、トレンドや売上の傾向について解説しました。
クラフトビール市場はここ数年で大きく変化し、大手のビールメーカーが参入するほどの賑わいを見せています。
ここまでの盛り上がりを見せた背景には、クラフトビールにはフルーティーで飲みやすいタイプが多いという特徴があります。
この傾向を理解したうえで、クラフトビールを作る際の方向性を固めていきましょう。
マイクロブルワリー、クラフトビール開業支援のスペントグレインは、クラフトビール事業を始めたい方へのサポートを全力で行っています。
高品質なビールを醸造できる、醸造設備を各種取り扱っておりますので、こだわりの詰まったおいしいビールを作りたい方は、気軽にご相談ください。
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この記事の監修者

株式会社スペントグレイン
マーケティング担当者
兼 醸造アドバイザー/経営コンサルタント
<略歴>
大手経営コンサルティング会社へ就職し、地域経済の活性化に貢献するプロジェクトに多く携わり、食品やアルコールを通じた地域振興・施設開発を専門にコンサルティングを行う。経営アドバイザー・醸造アドバイザーとして地域密着型のクラフトビール事業の立ち上げから設備導入、経営戦略までを一貫して支援し、地元の特産品を活かしたビールづくりにも取り組んでいる。
<監修者から>
ビールの品質は、技術は当然のことながら、経営の安定からも生まれます。持続可能で収益性の高い事業運営を支援しながら、ビールの味わいを最大限に引き出すことが私の使命です。 良い設備がなければ、良いビールは生まれません。しかし、経営が安定してこそ、長期的に持続可能なビール文化を築けるのです。