ケトルホップとは?苦味のあるビール製造に適した種類もチェック

ビールといえば、その独特の苦味が特徴的な飲み物です。
ビールの苦味に魅力を感じる方も多いのではないでしょうか。

ビール製造において苦味を引き出すために使われているのが、ケトルホップと呼ばれる、ホップを投入する方法の一つです。
ここでは「ケトルホップについて詳しく知りたい」と考えている方のため、概要や押さえておきたいポイントについて紹介します。

この記事を読むことで、苦味のあるおいしいビールを製造するためのポイントを理解できますので、ぜひご覧ください。

【目次】

  • ビール製造におけるホップとは?
  • ビール製造におけるホップの役割
  • ビール製造におけるケトルホップとは
  • ビール製造におけるケトルホップの効果
  • 苦味をつけるのに適したホップはどれか?
  • ビターホップの種類
  • ビール製造におけるホップとは?

    ビールの味を大きく左右するのが、ホップです。
    ホップとは、ビールに苦味と香りを与えるために欠かせない植物です。
    ホップの種類を変えるだけで、さまざまな味わいのビールを作ることができます。

    ホップの種類・投入量・タイミングによってもビールの味わいが変わるため、非常に奥が深いものといえるでしょう。
    ホップの栽培地として有名なのは、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、チェコ、中国などです。
    日本でも栽培が行われており、特に岩手県では生産量が多いことが特徴です。

    ビール製造におけるホップの役割

    ビール製造におけるホップの重要な役割として挙げられるのは、苦味や香りの付与と、泡もちの維持の2つです。
    それぞれの役割について、具体的に解説します。

    苦味や香りの付与

    ビールには独特の苦味があり、この苦味を生み出すのがホップです。
    未授精の雌株には、数センチほどの大きさの球花(きゅうか)と呼ばれる部分があります。
    この球花にはルプリンと呼ばれる器官があり、ホップの苦味を作るアルファ酸と呼ばれる成分を多く含んでいるのが特徴です。

    また、ルプリンには精油成分が含まれており、ビールならではの独特な香りを生み出します。
    近年人気を集めているジャンルとして、クラフトビールが挙げられますが、クラフトビールではホップの香りを強調しているものが多く見られます。

    泡もちの維持

    ビールといえば、グラスに注いだとき、きめ細やかな泡が発生します。
    ホップは、この泡もちを維持するためにも重要な役割を果たします。

    ホップの苦味成分であるイソアルファ酸が、麦芽由来のたんぱく質と結合することによって、泡もちがよくなります。
    泡は見た目を楽しめるだけではなく、ビールの風味を保ち、飲み口をまろやかにする役割を持つものです。
    泡もちの良さは、おいしいビールには欠かせない要素といえます。

    ビール製造におけるケトルホップとは

    ビール製造では、仕込み工程、または発酵・貯酒工程でホップを投入することになります。
    ケトルホップ(ケトルホッピング)とは、麦汁を煮沸する際に最初の段階でホップを投入する方法を指します。

    これはビール製造の中でも最も一般的なホップの投入タイミングでもあります。
    どのタイミングでどの種類のホップをどの程度投入するかによって、ビールの味わいは大きく変化します。

    ビール製造におけるケトルホップの効果

    ケトルホップは、麦汁を煮沸する際に、ホップを投入する方法です。
    そのあと煮沸を行うことによって、麦汁にはホップが持っている強い苦味や香りが移ります。

    また、ホップにはアルファ酸と呼ばれる成分が含まれており、これが熱に触れてイソアルファ酸に変化するとより強い苦味を持つのが特徴です。
    ケトルホップの主な目的は、この仕組みを活かして苦味を引き出すことにあります。
    ホップは熱を加えるほど苦味成分が出てくることから、早い段階でホップを投入することにより、苦味を引き立たせることが可能です。

    なお、早い段階でホップを投入するケトルホップとは反対に、最後の方にホップを投入する製造方法はレイトホップと呼ばれます。
    レイトホップの場合はケトルホップと違って苦味成分が出てくるのを抑えられますが、泡もちや殺菌作用などが十分に得られないのが特徴です。

    ケトルホップの魅力としては、熱を加える時間が短い分、香りが飛びにくい点が挙げられます。
    つまり、ケトルホップでは早い段階でホップを加えるため、香りが飛びやすくなるという欠点があります。
    このことから、一般的には、煮沸の終盤に香りづけを目的としたホップを追加する方法もよく用いられます。

    苦味をつけるのに適したホップはどれか?

    ホップには、さまざまな種類があり、日本ではそれぞれのホップが持つ特徴から、3つに分類されています。
    苦味を付与するのに適したホップがビターホップです。
    ビターホップは、特に苦味を重視する際に選ばれる種類のホップです。
    ケトルホップは苦味を強調したい場合に用いられる手法であり、一般的にビターホップが使用されます。

    アロマホップは香り付けを目的として使用されることが多く、オレンジやシトラスなどの柑橘系風味が特徴です。
    ファインアロマホップは、上品な苦味が特徴のホップです。

    ビターホップの種類

    ビターホップには、いくつかの種類があります。
    ここでは、中でも代表的な種類として、マグナムホップ、ノーザンブルワー、ヘラクレスについて紹介します。

    苦味の強いクラフトビールの製造に興味がある方は、それぞれのホップの特徴を確認してみてください。

    マグナムホップ

    マグナムホップは、苦味づけを目的として使用されるドイツ産のビターホップの一つです。
    別名では「ハラタウ・マグナム」とも呼ばれます。

    ビターホップの中では代表格ともいえるものであり、1980年にリリースされました。
    ホップの種類によってはアロマを妨げるものもありますが、マグナムの場合はそのような影響が少なく、心地よい苦味が得られます。

    アロマは、柑橘系のフルーティーさだけではなく、スパイシーさもあわせ持つのが特徴です。
    香りにメリハリをつける目的でアロマホップに少量加えられることもあります。

    苦味のもととなるアルファ酸の含有量が多い種類のホップです。
    そのため、ホップの苦味を楽しめる特徴を持つピルスナーに多く使用されます。

    ビールの中には、複数のホップを組み合わせているものも珍しくありません。
    また、マグナムを単独で使用したシングルホップのビールも存在します。
    マグナムホップならではの味わいを確認したい方は、シングルホップのビールを飲んでみると良いでしょう。

    ノーザンブルワー

    ノーザンブルワーは、苦味を付与する目的で用いられるビターホップの一つです。
    もともとはイギリスで多く生産されていましたが、現在はドイツのハラタウ地方で盛んに栽培されています。

    ビターホップではありますが、スパイシーでマイルドな芳醇な香りを持つのも大きな特徴です。
    この強みを活かすため、アロマホップとして利用されることもあります。
    上品な苦味を持つビールに仕上げることができます。

    ビター系のビールのほか、ポーター、イングリッシュエールなどに使われることが多い種類のホップです。

    ヘラクレス

    ヘラクレスは、ドイツのビターホップです。
    強い苦味を持ちながら、フルーティーなアロマも備えています。
    香りは草や花、大地など自然を思わせるものです。
    奥行きのあるホップを求める場合は、一度試してみるのも良いでしょう。

    もともとはドイツ系のエールに多く使用されていましたが、近年はアメリカンIPAなどのビールスタイルでも選ばれています。

    ホップはビールの味を大きく左右する非常に重要なもの

    いかがだったでしょうか。
    今回は苦味の強いビールを造りたいと考えたときに注目したいケトルホップや、ビターホップについて紹介しました。
    どのようなホップがビールに強い苦味をつけるのに向いているのかなどについてご理解いただけたかと思います。

    ホップはビールの味を大きく左右する重要な要素であり、慎重に選ぶ必要があります。

    スペントグレインは、おいしいビール造りを総合的にサポートしています。
    ビール製造に興味のあるものの、ホップ選びや設備の導入で悩みを抱えている方は、ぜひスペントグレインまでご相談ください。

この記事の監修者

監修者の写真

株式会社スペントグレイン
マーケティング担当者

兼 醸造アドバイザー/経営コンサルタント

<略歴>

大手経営コンサルティング会社へ就職し、地域経済の活性化に貢献するプロジェクトに多く携わり、食品やアルコールを通じた地域振興・施設開発を専門にコンサルティングを行う。経営アドバイザー・醸造アドバイザーとして地域密着型のクラフトビール事業の立ち上げから設備導入、経営戦略までを一貫して支援し、地元の特産品を活かしたビールづくりにも取り組んでいる。

<監修者から>

ビールの品質は、技術は当然のことながら、経営の安定からも生まれます。持続可能で収益性の高い事業運営を支援しながら、ビールの味わいを最大限に引き出すことが私の使命です。 良い設備がなければ、良いビールは生まれません。しかし、経営が安定してこそ、長期的に持続可能なビール文化を築けるのです。

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