ビールの香りはどう表現すればいい?知っておきたい用語7選

ビールの香りは消費者に選ばれるポイントとして注目されています。
醸造所を新規に立ち上げる、または増設を検討する経営者にとって、香りの表現や引き立て方を理解することは非常に重要です。

そこで本記事では、ビールの香りを表現するための基本用語や、提供時に香りを最大限楽しんでもらうための工夫について詳しく解説します。
事業の成功に向けて、参考にしてみてください。

【目次】

なぜビールは香るのか?

ビールの香りは、原材料や製造工程が複雑に絡み合うことで生まれます。
モルト、ホップ、酵母といった原料が、それぞれ独自の香り成分を発し、醸造中の温度や工程の管理によってその香りが変化します。

また、副原料が使用される場合は、さらに香りの個性を引き立てます。
特に、発酵過程で酵母が生成する香気成分や、ホップの追加タイミングによるアロマの強弱が、最終的なビールの香りを決定づけます。

こうした複数の要因が組み合わさることで、ビールの独自の香りが作り出されます。

ビールの香りに関するさまざまな表現

ビールの香りは魅力を語る上で欠かせない要素です。
ビールの香りは、原材料や製造工程によって生まれ、それぞれがビールの個性を際立たせます。

ここでは、代表的な香りの表現について見ていきましょう。

モルト香

モルト香は、ビールの主原料である麦芽(モルト)に由来する香りです。
麦芽の種類や焙燥(ばいそう)温度、焙燥時間の違いによって香りの特徴は大きく変わります。

例えば、低温でじっくり焙燥した淡色麦芽(ベースモルト)は、パンやビスケットのような穏やかな香りを与え、高温で焙燥した濃色麦芽(スペシャルモルト)は、キャラメルやチョコレート、コーヒーを連想させる芳ばしい香りを生み出します。

さらに、麦芽の配合比率や煮沸時間も香りに影響を与え、ビールの仕上がりに独自の個性をもたらします。

エステル香

エステル香は、酵母が発酵の過程で生成する揮発性の香り成分に由来します。
主にフルーツを連想させる香りで、リンゴやバナナ、洋梨などが含まれます。

発酵温度や酵母の種類、発酵の進め方によってエステル香の強さや種類は大きく変化します。
例えば、エール酵母を用いたビールではエステル香が豊かになり、香り高く個性的なビールが仕上がります。

消費者にとって、ビールの第一印象を決定づける重要な要素です。

ホッピー

ホッピーという表現は、ホップの香りが際立つビールを指します。
ホップはビールに苦味を与えるだけでなく、多様な香りをもたらします。

ホップの種類や添加するタイミングによって、香りの強さや方向性が変わりますが、ホップ由来の香りは、柑橘や花、スパイス、青草のようなニュアンスがあり、これらの香りが『ホッピー』と表現されるビールに奥深さを与えます。

特に、アロマホップを多く使用したIPAスタイルのビールでは、ホッピーさが際立つ仕上がりになります。

関連記事:クラフトビールの種類「IPA」とは?特徴やおいしい飲み方を確認

シトラス

シトラスは、ビールの香りを表現する上でよく使われる言葉で、レモンやグレープフルーツ、ライムなど柑橘類の爽やかな香りを指します。
主にアロマホップの種類や使用方法によって生み出されます。

爽やかで軽やかな印象を与えるシトラスの香りは、夏向けのビールや軽やかな口当たりのビールで好まれるでしょう。
香りだけでなく、ビールの味わいにもシトラスの印象を残すため、全体のバランスを取るうえで重要な原料です。

フルーティー

フルーティーは、果実を思わせる香りを指します。
リンゴや洋梨、ベリー類、さらにトロピカルフルーツまで、具体的な果物を想像させる香りが含まれます。

この香りは主に酵母が発酵の過程で生み出す「エステル香」によるものですが、使用するホップの種類や製造工程の工夫によっても表現されます。
フルーティーな香りは、軽やかで飲みやすいビールや、風味豊かなエールビールなどによく見られる特徴です。

消費者に親しみやすく、香りの良さをアピールしたいときに適した表現です。

スモーキー

スモーキーは、煙や燻製を思わせる香りを指します。
スモークモルトを使用したビールや、熟成過程で燻製効果を加えたビールに見られる特徴です。

スモーキーな香りは、深いコクや複雑な風味を引き立てるため、重厚感のあるスタイルのビールによく見られます。
ラオホやバーレーワインのようなクラフトビールでは、この香りが個性的な特徴として注目されます。

消費者に新たな体験を提供するビールとして、愛好家向けの商品開発に活用されることが多くあります。

グラッシー

グラッシーは、草や青草を思わせる香りを指します。
ホップ由来の香りとして分類されることが多く、特定のホップ品種や使用量によって香りの強さが変わります。

グラッシーな香りは、IPAやペールエールなどホップが主役のビールで特に感じられ、フレッシュで爽やかな印象を与えるでしょう。
ただし、香りが強すぎると青臭さが悪い印象を与えることがあるため、バランスを考慮することが重要です。

草原のようなフレッシュ感を表現したいビールでは、グラッシーな香りが活躍します。

ビールの香りを楽しんでもらうためには

ビールの香りは、その味わいとともに醸造所の特徴や魅力を消費者に伝える大切な要素です。
また、提供方法を工夫することで、香りを最大限に引き出せます。

ここでは、ビールの提供温度やグラス選びについて詳しく見ていきましょう。

適切な温度で提供する

ビールの香りを楽しむためには、適切な温度で提供しましょう。
温度によって香りの立ち方が大きく異なるため、ビールの種類に応じて温度管理を行う必要があります。

例として、エールビールとラガービールの温度調整をまとめました。

  • エールビール:香りが豊かなエールビールは、8~13℃の少し高めの温度で提供することで、揮発性の香り成分が引き立つ。冷たすぎると香りが抑えられるため、飲む直前に軽く温度を上げることが理想的。
  • ラガービール:スッキリとした味わいが特徴のラガービールは、キンキンに冷やした6~8℃が適温。この温度で提供すれば、ビールのキレのある味わいや爽快感を強調できる。


また、温度が変化する過程で、香りや味わいが変化するビールも多く存在します。
最初は冷やした状態で提供し、飲む時間とともに温度の変化を楽しめるスタイルも、消費者の満足度を高める工夫となるでしょう。

グラスを意識する

ビールの香りを効果的に伝えるには、グラス選びも大切なポイントです。
グラスの形状は香りの広がり方に影響を与えるため、ビアスタイルに合わせた適切なグラスを使用することで、ビールの香りを引き出すことができます。

  • チューリップグラス:飲み口がすぼまった形状のチューリップグラスは、香りを閉じ込める効果があり、芳醇な香りを楽しむのにおすすめ。特にアロマホップの香りが際立つIPAや、香り高いエールビールでの使用が推奨される。
  • ピルスナーグラス:細長い形状のピルスナーグラスは、透明感のあるビールの色味を引き立てるだけでなく、軽やかな香りを効果的に感じさせる。ラガービールや淡色ビールにおすすめ。
  • 専用グラス:各ビアスタイルに特化した専用グラスも多く存在する。適切なグラスを選ぶことで、消費者にビールの香りを存分に楽しんでもらえる環境を提供。


ビールグラスについても、この機会に知識として身につけておくことが大切です。

香り以外の重要な要素

ビールの魅力は香りだけではありません。
消費者に愛されるビールを作るためには、『ドリンカビリティ』『コク』『キレ』といった要素も欠かせません。

これらの要素は、ビールの飲みやすさや満足感に大きく影響するため、それぞれについて詳しく解説します。

ドリンカビリティ

ドリンカビリティとは、ビールの飲みやすさを指す言葉です。
軽めの味わいでアルコール度数が低く、苦味が控えめなビールほどドリンカビリティが高いと評価されます。

一方、濃厚な味わいやアルコール度数が高いビールは、飲むペースがゆっくりになる傾向があり、ドリンカビリティが低いと感じられることもあります。
消費者が『また飲みたい』『何杯でも飲めそう』と感じるビールは、ビアガーデンや飲食店での販売に適しており、大量消費が期待されます。

新規参入を目指す醸造所では、ドリンカビリティの高いビールをラインナップに加えることで、幅広い層を取り込む戦略が有効です。

コク

コクとは、ビールの味わいにおける複雑さや深みを表現する言葉です。
甘味、酸味、塩味、苦味、旨味のバランスが取れているビールは『コクがある』と評価されます。

例えば、樽で熟成させたビールは、樽の香りが移ることで味わいに重厚感が加わり、特別なコクを感じさせるでしょう。
さらに、麦芽の種類や配合、製造工程での細かな調整によって、コクの深さを演出することが可能です。

コクは、特に個性的なクラフトビールを求める消費者に好まれる要素であり、高価格帯のプレミアムビールや季節限定商品の展開において指標となります。

キレ

キレとは、ビールの後味がどれだけ早く消えるかを示す言葉です。
後味がスッと消えるビールは「キレがある」と表現され、爽快感や飲みやすさが強調されます。

キレの良さは、炭酸の強さや温度管理、注ぎ方によっても変化します。
例えば、冷えたビールでは甘味が抑えられ、後味がシャープに感じられるため、キレが増すとされています。

キレのあるビールは、暑い夏や運動後など、リフレッシュしたい場面で特に好まれます。
ラガービールのようなスッキリとしたスタイルでは、キレの度合いが顧客満足度を左右する重要なポイントとなります。

ビールの香りを表現する方法を知ろう

いかがでしたでしょうか?ビールの香りを表現する方法や重要性についてご理解いただけたかと思います。

香りはビールの個性を際立たせ、消費者の心を掴む大切な要素です。
香り以外の要素も考慮しつつ、バランスの取れたビールを醸造することが事業成功への鍵となります。

マイクロブルワリー、クラフトビール開業支援のスペントグレインでは、現役の醸造家が実務に基づいた設備の販売や提案を行っています。
これから醸造所を立ち上げたい方や設備の拡張を検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

監修者の写真

株式会社スペントグレイン
マーケティング担当者

兼 醸造アドバイザー/経営コンサルタント

<略歴>

大手経営コンサルティング会社へ就職し、地域経済の活性化に貢献するプロジェクトに多く携わり、食品やアルコールを通じた地域振興・施設開発を専門にコンサルティングを行う。経営アドバイザー・醸造アドバイザーとして地域密着型のクラフトビール事業の立ち上げから設備導入、経営戦略までを一貫して支援し、地元の特産品を活かしたビールづくりにも取り組んでいる。

<監修者から>

ビールの品質は、技術は当然のことながら、経営の安定からも生まれます。持続可能で収益性の高い事業運営を支援しながら、ビールの味わいを最大限に引き出すことが私の使命です。 良い設備がなければ、良いビールは生まれません。しかし、経営が安定してこそ、長期的に持続可能なビール文化を築けるのです。

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