醸造所に冷却器が必要な理由と冷却器の種類・特徴

「ビールの醸造所に冷却器は必要?」、「導入するべき理由を教えてほしい」などと考えていませんか。

コストがかかるため、できれば導入したくないと考えている方もいるでしょう。

 

最初に結論を示すと、ビールの醸造所に冷却器は必要です。

この設備がないと、ビールの品質を安定させることが難しくなります。

 

ここでは、醸造所に冷却器が必要な理由、麦汁を冷やす理由、冷却器の種類などを解説しています。

導入を検討している方は、参考にしてください。

 

【目次】

醸造所に冷却器が必要な理由とは

醸造所に冷却器が必要な理由として以下の点があげられます。

温度の管理

ビールの醸造工程で、温度管理が必要になります。

具体的な工程として、マッシングと発酵があげられます。

 

マッシングは、粉砕した麦芽にお湯を混ぜる工程です。

この過程で、急速冷却が求められます。

 

発酵は、麦汁に酵母を加えて、糖をアルコールと炭酸ガスに分解する工程です。

酵母の働きを安定させるため、一定の温度に保つ必要があります。

温度が高すぎると、不快な風味が生じるなど、トラブルが生じやすくなります。

 

関連記事:発酵温度がビールに与える影響とビールの発酵に適した温度

節水およびエネルギー効率

冷却器は、醸造所のコスト削減にも役立つ可能性があります。

水やエネルギーの消費量を減らせるためです。

 

具体的には、熱を吸収した水を循環させて再利用することにより水の消費量を減らせます。

また、冷却水を維持、供給し続けることで、必要に応じて水を冷却する必要がなくなるため、エネルギーの消費量も減らせるでしょう。

効率が良い熱交換

ビール醸造所の多くは、麦汁の急速冷却にプレート式熱交換機を利用しています。

プレート式交換機は、プレートに高温流体と低温流体を流して、低温の流体へ熱を移動させる熱交換器です。

 

ここでいう高温流体は加熱した麦汁、低温流体は冷水を指します。

冷却器があると、熱交換を効率よく行えます。

冷却器は、必要性の高い設備といえるでしょう。

品質管理

冷却器は、ビールの品質管理にも欠かせません。

発酵温度などを一定に保てるためです。

温度管理を行えないと、ビールの品質が安定しません。

 

例えば、想定より発酵温度が高くなり、風味が変わってしまうことも考えられます。

製品の品質にばらつきが生じると、お客様からの信頼を失ってしまいます。

温度を一定に管理して、安定した品質のビールを作るため、冷却器が必要です。

 

関連記事:ビール醸造の品質を担保するための5つの方法と欠かせないポイント

麦汁を冷却する理由

ビールの醸造工程で、沸騰させた麦汁を急速冷却します。

急速冷却する理由は、雑菌が繁殖しやすい温度帯を速やかに通過するためです。

 

雑菌には繁殖しやすい温度帯があります。

これよりも温度が高い、あるいは低いと繁殖を抑えられます。

したがって、沸騰させた麦汁を急送冷却するのです。

 

また、麦汁の温度が高いと、発酵に必要な酵母を加えられません。

45度以上で死滅してしまうためです。

酵母の活動に適した温度にするため冷却する必要もあります。

麦汁冷却器の種類

ここからは、麦汁冷却器の種類を紹介します。

スパイラルクーラー

チューブをらせん状に巻いた形状をしている冷却器です。

チューブ内に冷却媒体を流して、これと接する麦汁を冷やします。

 

主な強みは、麦汁を効率よく冷やせることです。

ただし、複雑な形状をしているためメンテナンスに手間がかかります。

メリット、デメリットを踏まえて選択することが大切です。

プレートクーラー

プレート式熱交換器の別名です。

前述の通り、ビールの醸造で幅広く用いられています。

複数の薄い金属(伝熱板)の間に、高温流体と低温流体を交互に流して熱交換を行います。

 

主な特徴は、熱交換率が高いことです。

また、単純な構造をしているため、メンテナンスの手間もそれほどかかりません。

使い勝手のよい冷却器といえるでしょう。

チューブクーラー

細いチューブを複数並べて、ここに冷却媒体を流す冷却器です。

チューブを通して、麦汁を冷やします。

チューブクーラーも麦汁を効率よく冷やせます。

 

ただし、隙間が狭いなど、複雑な形状をしているため、メンテナンスに手間がかかります。

スパイラルクーラーと、特徴が似ている冷却器といえるでしょう。

ビールの醸造所に冷却器は欠かせない

ここでは、ビールの醸造所に冷却器が必要な理由などを解説しました。

 

ビールの醸造工程で、沸騰した麦汁を急速冷却したり、酵母を加えた麦汁を一定の温度に保ったりする必要があります。

温度管理を適切に行えないと、ビールの品質が安定しません。

したがって、冷却器が必要と考えられているのです。

 

冷却器には、プレートクーラー、スパイラルクーラーなどの選択肢があります。

それぞれの特徴は異なるため、詳細を理解してから導入しましょう。

 

マイクロブルワリー、クラフトビール開業支援のスペントグレインでは、醸造設備や施工工事だけでなく、酸化防止策の導入や溶存酸素管理のサポートも行っています。ビールの品質向上を目指す事業者様は、ぜひ弊社へご相談ください。

この記事の監修者

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株式会社スペントグレイン
マーケティング担当者

兼 醸造アドバイザー/経営コンサルタント

<略歴>

大手経営コンサルティング会社へ就職し、地域経済の活性化に貢献するプロジェクトに多く携わり、食品やアルコールを通じた地域振興・施設開発を専門にコンサルティングを行う。経営アドバイザー・醸造アドバイザーとして地域密着型のクラフトビール事業の立ち上げから設備導入、経営戦略までを一貫して支援し、地元の特産品を活かしたビールづくりにも取り組んでいる。

<監修者から>

ビールの品質は、技術は当然のことながら、経営の安定からも生まれます。持続可能で収益性の高い事業運営を支援しながら、ビールの味わいを最大限に引き出すことが私の使命です。 良い設備がなければ、良いビールは生まれません。しかし、経営が安定してこそ、長期的に持続可能なビール文化を築けるのです。

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