ビールを保存するために欠かせないガス圧の目安はどれくらい?

ビールを新鮮な状態で提供するには、鮮度を保つ工夫が必要です。 ビールを保管する樽にはガス圧がかけられており、その管理が鮮度を保つポイントです。 ガス圧を適切に保つと、ビールの泡立ちや炭酸の持続に影響を与えます。不適切な管理は風味や飲み心地を損なう原因となります。 この記事では、ビール樽のガス圧の目安や注意点、おいしいビールを提供するコツについて詳しく説明します。

【目次】

ビール樽のガス圧が重要な理由

炭酸ガスはビールの醸造過程でできるものですが、樽に入ったあとは適切なガス圧によって維持されます。 ビールを口にしたときの爽快感やすっきりとしたのどごしを得るには、樽内のガス圧を適切に調節する必要があります。 ビール樽のガス圧が重要な理由は次のとおりです。
  • 炭酸ガスを保持する
  • 泡の質と注ぎやすさの向上
  • ビールの保存性・品質の向上
ガス圧を適正に維持することで、クリーミーで持続する泡ができあがります。 ガス圧が高すぎると過剰に泡が作られ、ビールが泡だらけになってしまい飲み心地が悪くなることも。 クリーミーで適切な量の泡ができあがれば、美しくグラスに液体を注ぎ入れられるようになります。 ビールとしての見た目を維持するためにも、ガス圧を調節することが大切です。 完成したビールをそのまま放置すると、他の食品と同様に酸化してしまいます。 そのため、ビールが樽の中で熟成する段階では、保存性を向上させるためにガス圧を利用します。 ガス圧をかけることによって酸素の侵入を防ぎ、風味を損なわずに保存性を向上させられるのです。

適したガス圧の目安

ビール樽内のガス圧は、樽内の温度を10で割った値が目安です。 ガスボンベから注入される二酸化炭素の圧力は「ポンド毎平方インチ(PSI)」で示されます。 ビールの種類や提供条件によって適正なガス圧は異なり、一般的には次の値が基準とされています。
  • ラガービール:10〜12PSI
  • エールビール:8〜10PSI
  • その他:5〜14PSI
日本で広く普及しているラガービールは、10〜12PSIが目安です。 上面発酵によって作られるエールビールは、ラガービールよりも低圧に抑えられます。 スタウトやポーターのように、じっくり焙煎したモルトを使用するビールは、エールビールよりもさらに低いガス圧が適用されることがあります。 適正なガス圧下では、ビールの中に含まれる炭酸ガスが逃げずに液体内にとどまり、爽快な飲み心地が維持できますが、圧力不足や圧力過剰には注意が必要です。 圧力不足(高温)では炭酸ガスが逃げ、『気抜け』の原因となります。 圧力過剰(低温)は、反対に余分な炭酸ガスが液体に溶け込んで、強炭酸のビールになってしまいます。 圧力不足や圧力過剰はどちらもビールの風味や飲み心地に影響を与えるため、適正な値を維持する必要があります。

ガス圧とともに注意したい点

ガス圧とともに注意したいポイントとして、保存時の温度・樽のサイズ・ビールホースの長さが挙げられます。 それぞれの注意点を詳しくみていきましょう。

保存時の温度

ビールの鮮度を適切に保つためには、保存時の温度が重要です。 直射日光や温度変化、振動、酸素の侵入を防ぐことが重要です。また、急激な冷却や温度変化の大きい場所での保管は避けなければなりません。 樽で保存するビールは、温度管理が不十分であると劣化のスピードが早まります。 保管および利用の際は、いずれも5度前後の低温を徹底する必要があります。 ただし、5度以下に設定すると濁りの原因となるため、適温を保つことが重要です。

樽のサイズ

ビールを保存する樽は、販売量に適したサイズを選んで保管しましょう。 5〜20リットルの範囲で、大きく5種類のサイズに分類されます。 生樽の容量とビールの杯数は次のとおりです。 容量 グラス(300ml) 中ジョッキ(400ml) 7L 17.5杯 23杯 10L 25杯 33杯 15L 37.5杯 50杯 19L 47.5杯 63杯 20L 50杯 66杯 ※杯数は目安です。 一般的にグラスは300ml、中ジョッキは400mlで計算します。一方、細身のピルスナーグラスは280〜400ml程度の容量があります。 実際に使用するグラスやジョッキの容量を確認し、杯数の目安を計算して樽のサイズを選びましょう。 ビール量が少ない状態で大きな樽を使うと、適切な圧力がかからない可能性があります。 また、ビール量が多い場合に小さな樽を使用すると、同様にガス圧を調整しにくくなるため、容量を確認して適切な樽のサイズを選びましょう。

ビールホースの長さ

ビールを提供するために使われる「ビールホース」も、適切な長さのものを選ぶ必要があります。 ビールホースは、樽内のビールの温度やガス圧を考慮して、適切な長さを選定します。 たとえば、ビール樽内の生ビールが高温の場合、炭酸が抜けやすくなるためガス圧を低くしなければなりません。 ガス圧の状態を確認し、それに対応するビールホースを選定して取り付けます。 一般的なビールホースは内径が約5mmで、10m前後の長さがあれば問題なく使用できます。ただし、それ以上の内径では倍の長さが必要です。

よりおいしいビールを提供するためには

ビールは、風味や炭酸の損失が少ない状態がもっとも美味しく味わえる飲み物です。 よりおいしいビールを提供するには、ビールサーバーを使用することをおすすめします。 特にクラフトビールは風味の個性が豊かで、できたての状態で提供するためにビールサーバーが使用されています。 樽から出したビールをサーバー内部で冷却し、冷えた状態で提供します。

ビールごとのガス圧の目安をチェック

今回は、ビール樽のガス圧について、特徴や目安、ガス圧以外に注意したいポイントを紹介しました。 ビールはできたての新鮮なものほど美味しいですが、保管が必要な場合も多いため、樽などでの保管方法がおいしさを左右します。 ガス圧の目安はビールの種類によって異なるため、美味しいビールを提供するには適正な値を把握することが重要です。 ビールホースやビールサーバーを接続する際は、ガス圧の特性と役割を十分に理解しておく必要があります。

この記事の監修者

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株式会社スペントグレイン
マーケティング担当者

兼 醸造アドバイザー/経営コンサルタント

<略歴>

大手経営コンサルティング会社へ就職し、地域経済の活性化に貢献するプロジェクトに多く携わり、食品やアルコールを通じた地域振興・施設開発を専門にコンサルティングを行う。経営アドバイザー・醸造アドバイザーとして地域密着型のクラフトビール事業の立ち上げから設備導入、経営戦略までを一貫して支援し、地元の特産品を活かしたビールづくりにも取り組んでいる。

<監修者から>

ビールの品質は、技術は当然のことながら、経営の安定からも生まれます。持続可能で収益性の高い事業運営を支援しながら、ビールの味わいを最大限に引き出すことが私の使命です。 良い設備がなければ、良いビールは生まれません。しかし、経営が安定してこそ、長期的に持続可能なビール文化を築けるのです。

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